富士山の御殿場口9.5合目で男女4人が滑落した事故で、救助にあたったヘリが50代の男性をつり上げているときに用具がはずれ、高さ3メートルから落下した。男性はその後の収容に失敗して、きのう2日(2013年12月)にあらためて収容されたが、死亡が確認された。
必死でつかんでいた救助隊員も力尽きる
遭難したグループは京都の山岳会のメンバーで、1日午前11時過ぎに滑落した。目撃した登山者からの110番通報で、静岡市消防局の救難ヘリが男性1人と女性1人を救助したが、61歳と55歳の男性は死亡した。55際の男性はいったんヘリでつり上げられたが、衣服かなにかが機体の突起にひっかかり引き上げられなくなった。何度かつり上げを試みているうちに男性の用具がはずれてしまった。高度は30メートル。ヘリは高度を下げ、救助隊員とオペレーターが必死でつかんで運んでいたが、力尽きて落下してしまった。午後4時過ぎだった。
静岡市消防局によると、ヘリには操縦士とオペレーター、救助隊員の3人が乗っていた。当時の天候は晴、西の風1メートル、気温マイナス10度で悪くはなかった。ヘリは再度つり上げを試みたが、日没が迫って気流が安定しなかったのと、救助隊員の疲労が激しく二重遭難のおそれがあったため断念した。男性はまだ手を動かしていたという。
消防局「痛恨!助けるのが仕事なのに…」
その後、地上からの救助隊が現場に着いたが、落下地点が離れていたため発見できなかった。男性は2日に静岡県警ヘリで収容されたが、搬送先の病院で死亡が確認された。消防局は「助けて当たり前のわれわれが助けられなかったことはくやしい。申しわけなく思っています」と語る。
司会の羽鳥慎一「過酷な状況だったんですね」
日本ロープレスキュー協会の堤信夫代表は「バックアップをとっておけばよかった」という。つり上げ用のハーネスの他に、遭難者と機体とを補助具で固定してしまうことだ。
突起にひっかかるというのはこれまでなかったことで、ハーネスはバックアップはいらないとされていた。ただ、バックアップがあれば、ぶら下がったままでも落下はしなかった。
赤江珠緒キャスター「救助隊の方がいちばん悔しい思いをしていると思いますが」
羽鳥「ギリギリの判断だった…」
堤氏は「亡くなった方には申しわけないが、ヘリの判断は正しかったと思います。下手をするとヘリも落ちてしまいかねない状況だった」という。