病院の取り違い 人生入れ替わった2人…「どちらも被害者だと思ってます」男性が会見

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「悔しい思いと怒り、正直言えば、昭和28年3月30日に時間を戻していただきたい」

   東京・墨田区の病院で60年前に別の新生児と取り違えられた男性(60)はこう語った。取り違えられたばっかりに貧しい家庭で育った逆境、すでに亡くなった実の両親に「生きているうちの会いたかった」という思い、精一杯育ててくれた親への感謝を淡々と語った。

13分違いで生まれ、まったく対照的な家庭で成長

   取り違えがあったのは墨田区の賛育会病院で、男性は病院を運営する社会福祉法人・賛育会に損害賠償を求めていた。東京地裁は「精神的苦痛を与えた」として病院側に3800万円の支払いを命じた。

   男性はこの病院で出生し、13分後に生まれた別の新生児と取り違えられ、実の両親とは離ればなれになった。2年後に戸籍上の父親が死亡し、生活保護を受けながら2人の兄とともに母親に女手一つで育てられた。取り違えがなければ、自営業の裕福な家庭の長男として育てられたはずだったが、ラジオを除いて家電製品は一つもない貧しい家庭、中学を卒業すると町工場に就職して働きながら定時制の工業高校を卒業した。その後、職を転々としながら還暦を迎えた今も独身で、同居する2番目の兄の介護をしながらトラックの運転手として働いている。その育ててくれた母親も亡くなり、実の両親もすでに亡くなった。

   男性が病院の間違いを知ったのは3年前だった。実の弟たちから事実を知らされた。長男の容姿や性格の違いに違和感を持った実の弟たちが、DNA鑑定で調べた結果、分かったのだという。

   岸本哲也リポーターによると、男性は時に涙を滲ませ、時に笑いながらなこう話したという。「両親の写真を見せられて、生きて会いたかったという思いですね。写真を見ると何か月間は涙が出ましたね」「四男、三男、次男と順に会って、三男から『あと20年は生きられるから、その間に今までの分を取り戻しましょう』と言われたときは嬉しかったし、そうしていきたいと思いました。(弟たちとは)月に1度飲みに行く感じですかね。(裁判が)すべて終わってから温泉に行きたいなと話しているんです」

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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