アメリカはおととい26日(2013年11月)、グアム基地からB52戦略爆撃機2機を尖閣諸島周辺に飛ばし、中国が東シナ海に設定した防空識別圏内を1時間半近く飛行してけん制した。中国側のスクランブルはなかった。
国防総省は「訓練の一貫」としたが、米下院軍事委のフォーブス委員長は佐々江駐米大使に「日米同盟を再確認するために必要なステップだった」と話した。ケネディ駐日大使も「東シナ海の現状を変えようという企ては地域の安全を損ない、緊張を高めるだけだ」と識別圏の設定を批判した。
小野寺防衛相はアメリカのヘーゲル国防長官と電話で会談し、この問題で「両国の連携を強化すること」で一致した。
中国外務省強がり「空域を有効に管理。B52飛行も全部見てた」
中国は識別圏に入る航空機に事前に飛行計画を提出するよう求めているが、米政府は「通告しない」方針を明らかにしている。日本政府も航空会社に同様の要請をして、日航、全日空なども提出を見合わせている。
中国は秦剛・外務省報道局長は「関係空域を有効に管理する能力がある」と強気で、B52についても「全ルートを監視した」と述べたが、具体的な動きは起こさなかった。
中国は同じ日、昨年(2012年)に就航した空母「遼寧」を初めて南シナ海に出動させたことが明らかになった。南沙諸島での動きを強化する可能性もある。ただ、出動ルートは台湾海峡で尖閣近海ではなかった。
元外務省の宮家邦彦氏はこれに「中国は米軍の圧力を感じているのでしょう。守るためには領海の12海里では十分じゃない、200海里の経済水域まで制海権を握り、その上空もコントロールしたいと思っている。ただ、そこは公海上ですから、船も飛行機も自由だとアメリカはいい、中国は仁義を切れといってる」と見る。
習近平のコントロールきかない軍部独走か
司会の井上貴博アナ「中国は(海外の批判を)わかって動いているのでしょうか」
宮家「わかってるかどうかがわからないですね。わかっていたらこんなバカなことしないし…」
井上「外交的にはどうなんでしょうか?」
宮家「大失敗でしょう。日米を離反させたかったのに、かえって連携を強めてしまった上に、韓国も反発し、オーストラリアの反対も食らって、南シナ海諸国も敵にまわしたんだから」
井上「習近平氏の号令で動いているのですか」
宮家「そうは思いたくない。習さんは『関係国との良好な関係』というのと『主権、安全、領土保全を断固守る』と2つのことを言っています。人民解放軍は『断固守る』だけをやりかねない。それが勝手な『識別圏』設定かもしてませんね」
アンカーの大和田獏(俳優)「習近平さんはコントロールできてないということですか」
宮家「そこまではいわないが、軍が自己主張を強めていることは間違いないですね」
北川正恭(早稲田大学大学院教授)「B52の意味は大きいんだ」
荻野アンナ(作家)「習近平さんはどう思ってるのかしら」
宮家「びっくりしてるんじゃないですかね」
石平・拓大客員教授は「中国の大誤算。メンツを失わず、どう収束させるか悩んでいる」と見る。まあ、そんなところか。