「育ててくれた母にはかわいがってもらい感謝してます」
会見で男性は「そんなことありえるのか。病院が間違えるなんて」と思ったという。母親から何度か「お前は誰に似たんだろうね」といわれたことはあった。DNA鑑定で取り違え明らかになり、本当の実家の家庭事情を聞くにつけ、「私の育った環境はかなりきびしいものだったな」と話す。
「実の両親の話を聞いた時、育ててもらいたかったなと思いました。できれば生きて会いたかった。写真を見ると涙が出ました。この世に生を受けたことは感謝しています」
育ての親に対しては、「できることは精一杯やってくれたと思ってます。母親にはとくにかわいがってもらった。感謝してます」
親たちはこの事実を知らないまますでに亡くなっている。
取り違えの相手の男性とは「話したことも会ったこともありません。彼も被害者ですから」とだけ話した。実の兄弟が「あと20年生きられるから仲良くしよう」といっているという。
きょうのアンカー大和田獏(俳優)は「裕福だから幸せというわけではないが、もうひとつの人生があったというのはなかなか受け入れられないと思いますねえ。お金で済む話でもない」という。
北川正恭(早稲田大学大学院教授)「探し出すのにもの凄く苦労したと思います。病院は隠すから。秘密保護法でこれが公権力の間違いだったら怖いなと思いましたね」
司会の井上貴博アナ「取り違えが他にあってもおかしくないですね」
カンヌ映画祭で受賞した映画「そして父になる」は、取り違えが6歳でわかるという実話にヒントを得た話だった。こちらは60歳だ。実話はいっそう重い。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト