東京都の猪瀬直樹知事(67)が医療法人「徳洲会」から受け取っていた5000万円の疑惑で、猪瀬は26日(2013年11月)に借用証を公開した。A4版の紙には「徳田毅殿」「平成24年11月20日」と印字された下に「5000万円」「猪瀬直樹」と手書きで記載されているだけで、返済時期や利息の記載がないうえ、実印の押印や収入印紙も貼られていなかった。
これでは借りた方は返すつもりがなく、貸したほうも返済しなくてもいい金と見られてもしょうがないし、借用証が借りた当日に作られたものかさえ疑いたくなる。
記者会見では「知らなかった」
借用証に詳しい行政書士会の星野精一副会長は「いちばん怖いにはこの5000万円の数字。カンマが入っていないし、5000万円の前に数字が入れられる。どうしてこういう数字を書いたのか不思議、ミステリーですね」と訝っている。
猪瀬は「衆院議員会館の徳田毅議員の事務所で空欄の借用証を渡され、自分で書いた」と説明している。「最近作ったのでは?」という記者の問いには、「間違いなく原本です」と語気を強めた。
さらに疑惑を深める次のような事実もある。東京都内には徳州会の施設が建設中を含め3つある。そのうちの武蔵野徳洲苑には猪瀬が副知事時代に都が7億円以上の補助金を出しているのほか、現在建設中の武蔵野徳州会病院は昨年10月に都が建設許可を出している。
そうした徳州会の施設があることについて、猪瀬は「知らなかった」と答えているが、副知事時代に「緊急医療の専門チーム」を立ち上げている。利害関係があるところから無利子、無担保で5000万円を借りれば疑惑が生じるのは当然だ。