日本人の死因のトップはガンで、年間約36万人が死亡している。予防策は早期発見・早期治療だが、街の声を聞くと「ガン検診は面倒くさいし、なんだか怖い」(中年主婦)、「あの内視鏡検査は痛いので、なかなかその気になれない」(初老男性)という声が多い。そこで、「アカデミヨシズミ」コーナーで「負担大幅減 ガン検査最前線」を紹介した。
息吹き込むだけで肺ガンを8分で解析
ガンの中でも最も死亡数が多い肺がんの呼吸器・内視鏡治療のスペシャリストである聖マリアンナ医科大学の宮澤輝臣主任教授が研究を進めているのは、人の呼気から肺がんを見つけだす方法だ。「人の呼気というのは二酸化炭素やアンモニアを始めとした無数の成分が入り混じっています。肺がん患者の呼気にはそれらの成分のほかに、肺ガン細胞が放つにおい分子が含まれています」
肺ガンのにおいに着目した宮澤教授は、イオン移動度分析装置というにおいセンサーを使い、息を吹き込むだけで肺ガンを検査する方法を開発した。「人の呼気成分をわずか8分で解析し、どんな成分がどのくらい含まれているのかをグラフ化して表示します。従来のレントゲン検査では、まだ小さいガンは発見されにくく、さらに放射線を浴びるために肉体への負担も小さくありませんが、この検査方法で肉体的負担も軽くなります」という。
山形県の慶應義塾大学先端生命科学研究所で研究されているのは、口腔ガン、乳ガン・すい臓ガンの3種類のガンを、唾液から発見する方法である。所長の冨田勝医学博士は「唾液に含まれる500種類の代謝物のうち、54の物質はガン患者と健常者との間で大きな違いが見られます。3年後をめどに、何とか実用化に持っていきたいですね」と話す。
内視鏡などの負担・苦痛なし
司会の羽鳥慎一「僕たちの知らないところで、いろいろな新しい検査方法が研究されているわけですね」
コメンテーターの青木理(ジャーナリスト)「これまでのガン検診のネックは、内視鏡検査などで肉体的負担が大きかったことですよね。負担が少ない検査方法が普及すれば、早期発見の確率も上がると思います」
コーナー司会の石原良純(タレント)は泌尿器系のがんを数多く診察・治療してきた東京医科歯科大学の木島敏樹医学博士を訪ね、「尿細胞診検査」を紹介した。これは尿の精密検査でがんを発見しようというもので、すでに実用化されている。
石原「体への負担が少なく、全国の医療機関で受診可能です」
木島博士によると、「尿にどんな細胞が含まれているかを詳細に分析すると、腎盂ガン、尿管ガン、膀胱ガンという、尿路にある3つの臓ガンの可能性を調べられます」という。尿路のどこかにガンがあれば、ガン細胞が剥がれ落ちて尿の中に出てくるのだ。
石原「尿の色で判断する人も多いですが」
木島博士「尿の色は関係ありません。透明な尿の人でも初期段階のガンに罹っている場合があります」
犬も飼い主の体内にガンができるとにおいで気づくらしい。ガン検知犬の研究なんていうのもどうかな。