単独犯か被害者の妻と共謀か―真っ向から主張が異なる茨城県境町の同僚女性の夫刺殺事件は20日(2013年11月)、水戸地裁で行われていた裁判員裁判が結審した。単独犯を主張する検察側は殺人罪で野村賢志被告(25)に懲役18年を求刑した。あす22日に判決が言い渡される。
争点は被告と妻の親密度
論告求刑で検察側は「被告は妻に責任をなすりつけようと嘘をついている」と断じた。これに対して弁護側は「偶然、犯行の日に(家の)鍵が開いていた。偶然、揉み合いの間に(隣で寝ている)妻が起きない。偶然だらけだ。そこに一つのストーリーを加えると偶然が偶然ではなくなる。そのストーリーとは妻に導かれていたということです」と主張した。
キャスターの小倉智昭「弁護側の主張も説得力があるように聞こえてきますが、今回の裁判をどう受け止めていますか」と久しぶりに登場の若狭勝弁護士に聞いた。「目の前の被告人がこういう主張をしている場合、裁判経験のない裁判員は本当なのか嘘なのか判断が極めて難しいでしょうね。本当に大変な裁判だという印象です」
ただ、被告弁護側と検察側との争点は、あくまでも被告と妻との親密の度合いで、事実として分かっているのは妻から殺害依頼があったわけではないこと。若狭は「共謀について妻は完全に否定しており、共謀を認定するのは難しい」という。
争いようない殺害事実。弁護側「妻関与で情状狙い」
小倉「弁護側がこういう手法をとってきた狙いはどこにあるんですか」
若狭「検察側の主張は単なるストーカー殺人で情状的には悪い。しかし、妻が仲間だったとなると、妻にも責任があるということで、相対的に被告人の刑事責任は低くなると弁護側が戦略として考えたのだと思います」
あすの判決はどのようなものになるのだろう。若狭は「今回は有罪か無罪かということではなく、被告が殺害したのは間違いない事実で、そこを強調した判決になるのでしょう。共謀があったかどうかまで踏みこまないのではないか」という。