昨年暮れ総選挙「違憲状態」最高裁判決!「違憲・無効」の高裁判断からは後退

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   「1票の格差」が最大2.43だった昨年末(2012年12月)の衆院選について、2つの弁護士グループが選挙無効を求めていた全国16件の訴訟で、最高裁はきのう20日(2013年11月)、「違憲状態」という判断を出した。選挙無効の請求は認めなかった。

安倍自民党はひと安心?

   最高裁は「憲法が要求する投票価値の平等に反する状態」としたが、定数是正の0増5減を「一定の前進があった」として「違憲」にまでは踏み込まなかった。3人の裁判官からは「合理的期間内に是正できたのに行わなかったと評価せざるを得ず、憲法違反」との反対意見がついた。

   この判決に安倍首相は「厳粛に受け止めている。内容を精査していく」といい、自民党の石破幹事長も「近いうちに(3党幹事長)会談もしていかなければならない」と言うが、新聞各紙は「(意見ではなく違憲状態だったことで)与党は安心したのでは」と懸念している。

   そもそもは、昨年11月14日の党首討論で、定数削減も含めて「来年の通常国会までに(今年夏)結論を出す」というのが、当時の野田首相と野党・自民党総裁だった安倍首相との約束だ。これによって「0増5減」の法案は通したが、直後の総選挙は区割りは間に合わないと是正がないまま行われた。

「違憲状態」の国会議員が憲法改正論じる滑稽

   定数削減は最大格差2.30だった2009年の衆院選を最高裁が「違憲状態」としたことを受けてのことだった。この判決で求められた「1人別枠方式」の廃止は「0増5減」と同時に決めているが、焦点は「11年3月から是正に十分な時間があったのに放置した」という点だった。

   民主党政権下では何もなされず、「0増5減」だけで選挙を行って、安倍が政権をとってからは何もしていない。高裁は行政・国会の怠慢があるとして、16件のうち、2件が「違憲・選挙無効」、12件が「違憲」という踏み込んだ判決を下した。

   しかし、最高裁は残る2件の、いわば少数見解ともいえる「違憲状態」をとった。選挙のやり直しのマイナスを考慮したとの見方もあるが、それでは何のための司法かという声が出て当然だろう。

   北川正恭(早稲田大学大学院教授)「甘い」

   金井辰樹(東京新聞政治部長)「国会が怠慢なのはいうまでもないことで、むしろ今回は司法にも問題がありますよ。高裁判決でいえば『違憲状態』は少数見解。最高裁がそれを採用し、『0増5減』を評価しているのは明らかに後退ですよね。最高裁しっかりしろよといいたい」

   百歩譲って「違憲状態」はよしとしても、その選挙で選ばれた国会議員が憲法改正を声高に叫んでいる姿は滑稽ですらある。国会の目下の焦点は 秘密保護法案だ。たとえ成立したとしても、「違憲議員が作った」という但し書きをつけないといけない。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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