「違憲状態」の国会議員が憲法改正論じる滑稽
定数削減は最大格差2.30だった2009年の衆院選を最高裁が「違憲状態」としたことを受けてのことだった。この判決で求められた「1人別枠方式」の廃止は「0増5減」と同時に決めているが、焦点は「11年3月から是正に十分な時間があったのに放置した」という点だった。
民主党政権下では何もなされず、「0増5減」だけで選挙を行って、安倍が政権をとってからは何もしていない。高裁は行政・国会の怠慢があるとして、16件のうち、2件が「違憲・選挙無効」、12件が「違憲」という踏み込んだ判決を下した。
しかし、最高裁は残る2件の、いわば少数見解ともいえる「違憲状態」をとった。選挙のやり直しのマイナスを考慮したとの見方もあるが、それでは何のための司法かという声が出て当然だろう。
北川正恭(早稲田大学大学院教授)「甘い」
金井辰樹(東京新聞政治部長)「国会が怠慢なのはいうまでもないことで、むしろ今回は司法にも問題がありますよ。高裁判決でいえば『違憲状態』は少数見解。最高裁がそれを採用し、『0増5減』を評価しているのは明らかに後退ですよね。最高裁しっかりしろよといいたい」
百歩譲って「違憲状態」はよしとしても、その選挙で選ばれた国会議員が憲法改正を声高に叫んでいる姿は滑稽ですらある。国会の目下の焦点は 秘密保護法案だ。たとえ成立したとしても、「違憲議員が作った」という但し書きをつけないといけない。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト