妻の横で就寝中だった夫を刺殺して殺人罪で裁かれている野村賢志被告(25歳)の裁判員裁判がおととい18日(2013年11月)から水戸地裁で始まった。野村はそれまでの単独犯行という供述を翻し、「妻と通じて犯行に及んだ」と主張している。これに対し、証人尋問に立った妻は濡れ衣と否定した。
検察側起訴状「横恋慕の末の独りよがりの犯行」
今年5月、茨城県境町に住む小野里正志さん(38歳)は、就寝中に侵入してきた野村に刺され失血で死亡した。隣で寝ていた妻は犯行にまったく気づかなかったと話し、事件にいまだに謎が多い。小野里さんの妻と野村は同じ職場で働いていたことがあり、公判2日目のきのう19日、職場の上司が証人として出廷した。
高村智庸リポーター「上司は2人は交際しているものと思えたと証言しました。検察側は野村被告の当初の自供通り、アルバイト先で同僚の37歳の女性に夫がいるのを知りながら恋愛感情を抱き、1度映画を一緒に見に行ったものの、その後は誘いを断られ、夫がいなければ交際が続けられると思い殺害にいたったと、野村被告の単独犯を主張しています」
掛かっていなかった玄関の鍵
司会の羽鳥慎一「まるで水掛け論。これではどちらが真実を語っているかわからないですね」
高村「きのうの公判で野村被告側は妻に依頼された根拠として、『死にたいと思い詰めるぐらい追い詰められている印象を受けた。また、犯行当夜に自宅を訪ねてみると玄関のカギが開いていた。これは自分が来るのを待っているという合図だと思った』と話しています」
羽鳥「それは妻から直接聞いた話なのですか。それとも、そういう印象を受けたということですか」
高村「そのへんはわかりません。私の印象では、そういう感じがしたということだと思います」
コメンテーターの萩谷順(法政大学教授)は「これまでの裁判は、法律に照らし合わせてストーリーを組み立て、そのストーリーにどれほどの合理性があるかを判断して判決が言い渡される法律の世界だった。しかし、裁判員裁判ではそこに市民としての感覚が入って来ます。検察側も公判で被告が犯行にいたった根拠を聞いているはずで、かりに妻に共犯の疑いがあったとしても、逮捕・立証できないから見送ったのではないですか。このあたりも含め、裁判員がどんな判断を下すのかが注目されますね」と話した。判決は22日に言い渡される。