福島第1原発の4号機建屋の使用済み燃料プールからの燃料取り出しが、きょう18日(2013年11月)から始まった。高い放射線量、建屋の強度への不安、熟練工の不足など、不測の事態への不安がいっぱいである。この作業にあたる作業員の1人が福島県内の仮設住宅で不安を語った。
「みんな心配ですよ。線量も建屋も(東電は)安全だというが、建屋は補強したとはいっても、あれだけの爆発や火災を起こして劣化している。地震に耐えられるか」
カメラでしか確認できない燃料プール
4号建屋は上部が爆発で吹き飛び燃料移動用のクレーンも壊れたが、クレーンは新たに作り直された。作業はまず燃料をつり上げ、水中でキャスクという移送用の容器に入れる。これを1階まで降ろしてトレーラーで100メートル離れた共用プールに運び、再び燃料を取り出し保管する。
燃料は1533体だが、うち1331体が放射線量が高い使用済み燃料だ。これらを空気中に出したら、そばにいる人間は即死するくらいの線量だ。すべては水中での作業になるが、爆発による破損やがれきの混入など、確認できない要素が多い危険な作業になる。
危ないのは移動だという。実際に燃料を吊り上げて状態を見たわけではない(カメラでしか確認してない)から、作業の途中で損傷していることがわかっ たときにどうするか。こうした事態にタイプするためには経験と熟練が必要だが熟練工が不足している。
「震災前にキャスクを専門にやっていた人間はほとんどいない。新しい人間も慣れたころには被ばく線量がいっぱいになって入れなくなる。線量がこれからネックになる」と作業員はいう。ただ、「あまり考えないようにしている。切り替えてプロ意識でやるしかない」
経験者も熟練工もいない作業現場
被ばくの不安も絶えない。「高線量の場所には行きたくない。家族には『危ないと思ったらやめてくるから』と言ってはいるが、実際はやってみなければわからないですね」
司会の井上貴博アナ「不安は現場の作業員が負うことになるんですかね」
池田健三郎(経済評論家)「だれかがやらにといけない。しかし、累積線量があるから熟練できないですよね。新しい人を研修する効率的なシステムをつくらないといけないわけで、いま原発をやめても、人材育成はこれから何十年も続けないといけないということですよ」
柿崎明二(共同通信編集委員)「作業中に地震が来たら、全部の不安が現実になる。建屋が損傷したら、また東日本全体の問題になってくるかもしれません」
放射能の汚染は政治も左右する。きのう行われた福島市長選挙では、進まぬ除染作業への不満から現職が大差で敗れた。福島県の自治体選挙では、郡山市、富岡町、いわき市と現職が敗れ続けている。