仙台市中央署で取調中に逃走したドイツ人大学生(自称)シューツ・ペトロ・ウラジミロビッチ容疑者(25)が、きのう14日(2013年11月)午後6時すぎ、 宮城県七ヶ浜町の交番に現われ逮捕された。26時間ぶりで、「腹が減った」といっていたという。
潜伏先の七ヶ浜町は防災無線通じてドイツ語で出頭呼びかけ
ウラジミロビッチは13日午後4時過ぎ、仙台中央署の取調室から逃げ出し、通りがかった車をヒッチハイクして約15キロ離れた多賀城市内で車を降りた。運転者には「ストレート、ストレート、多賀城ステーション(駅)、ストレート、仙台ポート(港)、ホーム、ホーム」と言っていたという。
Tシャツではだしだった。寒さで震えながら近くの店に入って、「ドイツから来ました」といって手を合わせたという。店では古着のシャツを貸してやった。別の家ではスリッパをもらって、午後7時頃に塩釜市内のショッピングセンターで目撃されていた。
この間に宮城県警は加重逃走で指名手配し、顔写真がテレビに出ていた。185センチの長身の白人だからこの地域では目立つ。きのう朝から七ヶ浜町で目撃が相次ぎ通報された。七ヶ浜町は午後4時半ごろ、防災無線通じてドイツ語で名指しで出頭を呼びかけた。約2時間後、七ヶ浜交番に出頭してきた。仙台地方のきのうの最低気温は0.7度で、ウラジミロビッチは寒さと空腹で憔悴しきっていたが、どこで手に入れたか黒いスーツに野球のスパイクをはいていた。
逃げやすい構造だった仙台中央署
ウラジミロビッチは先月30日(2013年11月)、仙台市内のホテルで従業員に暴行した傷害容疑で逮捕された。取調室には40代の巡査部長と通訳の女性がいたが、巡査部長が部屋を出て20代の巡査が代わったとき腰縄をほどいて逃げた。暴れた時などに通訳女性がすぐ逃げられるように、ドアは開いていた。
問題は腰縄らしい。元神奈川県警刑事の小川泰平氏が腰縄でスタッフをイスに縛ってみせた。通常よりゆるく縛ったというが、縄から抜けるのは相当にむずかしい。
与良正男(毎日新聞論説委員)「腰縄が相当ゆるかったということですね。あれだけ大きな警察署で逃げたあと止められないというのはどういうことですかね」
小川「古い警察署だと調べ室は刑事課の中にあるが、新しいところでは別になっていることが多いんです。通路も一般の人と接しないように別になっています」
それにしても、巡査はすぐに追いかけなかったのか。よほど足が遅かったのか。叫ばなかったのか。小川も「恥ずかしいこと」といっていた。