セックスしたら1000万円!厚生年金基金横領「酒池肉林24億円」お伴したラモス瑠偉

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<「『車が欲しい』と言われればポンと買ってあげるし。『家具が欲しい』と言う子には、平気で海外の800万円もする家具一式を買ってあげたりとかね。今は閉店しているけど、六本木にお店をオープンさせてあげたこともあったそうよ。女に貢ぐ額が一桁違うの。一度でもセックスできると、一人当たり軽く1000万円は貢いでいたと思う。そういう具合で、好きな女の子一人に入れ込むタイプではなく、常時3、4人の女の子と付き合っていて、私が知る限り二十数人の子と関係を持っていた」>

   『週刊新潮』の「ラモス瑠偉と親しかった『24億円横領男』黄金の日々」で、長野県建設業厚生年金基金元事務局長・坂本芳信容疑者(56)のかつての酒池肉林の遊びぶりをこう語るのは、坂本がよく通っていた銀座クラブのママ、エリ(仮名)さんである。

   それにしても、見つからずによくこれだけの大金を横領できたものだ。気づかなかった年金基金側にも大いに責任ありだが、週刊新潮の記事はそこには踏み込んでいないのがいささか物足りない。

   だが、長野市内の家賃5万5000円の家に家族と暮らし、週に何日かは東京で豪遊していた坂本を、エリさんは新橋にある投資ファンドの社長だと信じて疑わなかったという。2、300万円はするオーダースーツを着こなし、時計は1500万円の海外ブランド品。店を終わって女の子を連れて行く店は銀座の高級寿司屋「久兵衛」だった。

   エリさんにいわせると、私のような年増は相手にせず、21歳から25歳ぐらいまでの銀座ズレしていない女性が好みだったという。20人の女性に1000万円ずつ貢いだとして、それだけで2億円が消えた計算になると、週刊新潮はいらぬお世話の算術をしてみせる。

   エリさんと坂本が出会ったのは六本木のクラブだったが、それから坂本がポンとカネを出して銀座のポルシェビルに「ピノ」というクラブを2008年11月に開く。保証金や内装費、スタッフの支度金あわせて1億円はかかったという。その当時、元Jリーガーのラモスとも知り合い意気投合した。社員旅行はハワイで、ラモスも同行。「久兵衛」の社長らと職人を連れて行き、プールの傍のダイニングキッチンで寿司を握らせたという。

   しかし、10年9月に事件が発覚し坂本はタイに逃亡する。そこでも残っていたカネを湯水のように使って遊んでいたそうだが、最後は愛人に家賃を無心して通報されお縄になる。逮捕されたときの所持金は1万円と少しだった。

   横領男が女性に貢いでいた事件では、青森県住宅供給公社の経理を担当していた男が14億円以上を横領して逮捕されたが、カネのほとんどを貢いでいたのがチリ人の人妻・アニータさんだったことが話題になった。今回は、坂本が貢いだカネの大半は日本女性らしいが、大枚を払ってセックスしても、女性たちには次々に去られてしまったと先のエリさんが話している。

   約5年間で24億円だから、1年で約5億円、1日で140万円ぐらい使える。オレだったら何に使うだろう。貢ぐ相手はいないし、酒もそんなには飲みきれないし…。とりあえず貯金しておこうか。貧乏が染みついた身には、空想の世界でも大金の使い道に困るのである。

「島倉千代子」借金負わされ騙されて…それでも歌い続けた人生けなげ

   今週は週刊新潮の誌面が充実している。お次も同誌の「『細木数子』を恐怖していた『島倉千代子』」がおもしろい。島倉が亡くなってしまった。享年75。彼女のデビュー曲「この世の花」を私は中野駅近くの映画館で聞いた。1955年、この曲は大ヒットして200万枚を売り上げ、同名の映画が作られたからだ。「想うひとには嫁がれず 想わぬひとの言うまま気まま」という歌詞が、その意味もわからなかった小学生の私の心に留まり、今もときどき口をついて出てくる。

   島倉とは何度か会っている。週刊新潮が書いている細木数子氏とのからみである。実は、私と細木氏との付き合いはかなり古い。たしか彼女が渋谷の道玄坂あたりでクラブをやっていた頃である。その後、彼女は週刊新潮にあるように、赤坂にクラブ「艶歌」やディスコ「マンハッタン」をつくる。そこへも何回か行ったことがある。だが、経営はうまくいかなかったようで、その後、喫茶店のようになっていたと記憶しているが、定かではない。

   当時、細木氏から島倉の話を聞いた。彼女によれば、ある夜、彼女のマンション近くで島倉が裸足でフラフラしているのを見つけたので、家に連れてきて介抱してあげたという。島倉は精神的にも大きなダメージを負っていて、あのままだったら自殺したかもしれないともいっていた。

   その話を聞いて、私は島倉のインタビューを申し込み、たしか細木氏のマンションで話を聞いたと思う。そこには細木氏の彼氏、小金井一家の堀尾昌志総長も同席していたと記憶している。

   島倉は元阪神タイガースの藤本勝巳と結婚したが、夫婦で経営したクラブがうまくいかず、6000万円の借金を引き受けて離婚する。その後も、事務所を任せていた実弟がカネを使い込み、この時もその負債を引き受け、10歳年上の眼科医の所に走る。

   彼女は62年にファンが投げたテープの芯が目に当たり重傷を負うが、その治療に当たったのがその眼科医だった。眼科医は、失明の恐れがあると脅し、公演から帰ってくると島倉を真っ黒なカーテンで締め切られた部屋に閉じこめた。眼科医は不動産業に手を出し、手形を島倉に裏書きさせ、10数億円の手形を決済できずに破産し失踪してしまう。彼女にはまた3億円近い借財ができ、債権者に追われる身となってしまう。債権者たちが新宿コマ劇場まで押し寄せ、怒号が飛び交ったと週刊新潮が書いている。

自殺の崖っぷちに現れた細木数子もまた…1億数千万円の「手切れ金」

   追い詰められていたとき、島倉は細木と出会ったのである。当時の島倉は細木さんがいなければどうなっていたかと、感謝の気持ちを私にも話してくれた。人生いろいろどころではない苦難の人生を歩んできた島倉だが、その表情にも歌う姿にも、そんな陰を見せることはなかった。

   だが、だいぶ経ってから、島倉が細木の所を離れたと聞いた。債権者を説き伏せて返済を引き延ばす一方で、細木氏は島倉の興行権を手に入れた。その後の経緯を週刊新潮はこう書いている。

<その興行権に、大いなる価値があったという。
   「当時の島倉は日建ての稼ぎが800万円。私は松尾和子を扱ったことがあったが、半分の400万円。島倉の稼ぎは破格だった。細木はミュージックオフィスを作り、島倉のマネージャー兼プロダクション代表を務めたのだが、島倉が稼ぎまくる金を、借金の返済に積極的に回したという話を聞かないのは、どいうことだろうか」(ヤクザ組織に詳しい事情通)
   (中略)細木のことを無二の恩人だと語っていた島倉も、次第にこうこぼすようになったという。
   「いくら働いても借金は減らないし、こんなに働いているのに、私には何も残らないのよ」>

   週刊新潮によれば、コロンビアレコードが細木と堀尾側に『手切れ金』として1億数千万円を払って関係を断ち切らせたという。以来、島倉は細木については自伝の中でも一切触れていないそうである。

   『週刊文春』は島倉が幼い頃の輸血がもとでC型肝炎になり、子供への影響を考えて子供を産めなかったと書いている。その子供が産まれたら「忍」という名前を付けたいと、可愛がっていた歌手の小林幸子に語っていたという。彼女の墓石には「音の門」と彫られ、その横には「忍」と刻まれている。

   戦後を代表する女性歌手といえば美空ひばりと島倉千代子である。私生活では恵まれなかったところも共通している。幸少なく忍ぶことばかり多かった人生だったが、今度こそ島倉が安らかに眠れることを祈りたい。

沖縄返還密約スクープ西山太吉記者「特定秘密保護法で政府はウソつき放題ですよ」

   何度も書くが、特定秘密保護法は希代の悪法である。これができれば防衛や外交はもちろんTPPの交渉内容や原発事故情報も『特定秘密』に指定されるのは明らかである。そうなれば内部告発をしようと思っても厳罰の前に躊躇したり、取材者も「著しく不当な方法による取材行為」は処罰対象になり、著しいかどうかを判断するのは行政の長や官僚であるから、自主規制してしまうことが必ず起きてくる。

   『週刊朝日』はこの法案にはっきり反対を表明し、今号では「西山事件」で有名な元毎日新聞記者の西山太吉氏にインタビューして、この法案の危険性を語らせている。心意気やよし!

   西山事件とは1971年の沖縄返還協定に関する外務省の『密約電文』が漏洩し、毎日新聞政治部の西山太吉記者と外務省女性事務官が国家公務員法違反で有罪となった事件である。西山氏は自民党政権には秘密保護法を提出する資格はないと厳しく言及している。

<「秘密保護法の細目の議論に入る前に、まず自民党の過去の情報犯罪を問題にすることが重要です。イラク戦争についてアメリカ政府は、『大量破壊兵器をつくっている』とデッチ上げて軍事介入したことを認めた。それに比べて日本は、アメリカからあれだけの資料が出てきても沖縄の密約を認めていない。いまだに都合が悪いものを全部隠している。嘘をついたら、つきっぱなしの状態です。だから民主党は新しい情報公開法をつくることを公約に掲げて政権交代し、2011年4月には法案を提出した。それなのに民主党は、その後、国会で努力を全くしなかった。官僚の猛反発で鳩山政権が潰れた後、自民党と大して変わらない民主党右派政権が秘密でも何でもない尖閣ビデオ流出問題を機に秘密保全法制の準備を始め、安倍政権の先鞭をつけてしまったのです。
   空文に等しい情報公開法しかない中で、今回の秘密保護法が成立すると、沖縄密約の時と同じように非合法な国家の行為までもが次々と特定秘密に指定され、広がっていく。都合が悪い情報を隠し通す日本の現状をさらに悪化させ、民主主義が機能しなくなることは明らかです」>

   日本版NSCと特定秘密保護法が成立すれば、日本にはどうでもいい情報だけがあふれ、国民には何も知らされないままアメリカのいいなりに「集団的自衛権」行使ができる国に変容し、いつか来た道をたどることになりはしないか。心底心配である。


〈追記〉   11月19日(火)夜6時~8時まで。東京・神保町の「岩波セミナールーム」(神保町2-3-1 電話03-3263-6601)で雑誌編集者とジャーナリストによる「特定秘密保護法反対アピールの会」(仮称)を開きます。関心のある方はぜひおいで下さい。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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