観測史上最大規模の台風30号で壊滅的な被害を受けたフィリピンのレイテ島とサマール島で、在住日本人133人のうち103人の安否が確認できていない。老後を過ごしている人や現地女性と結婚した人が大部分で、幼い子どもも含まれているという。
つながらない電話・メール
フィリピン国家災害対策本部によると、これまでに確認された死者は1798人で、国連は被災者を1130万人と推計している。レイテ島のタクロバンなどでは食料と水がなく、政府は空軍機で住民を他の地域に移送しているが、乗り切れない住民で大混乱に陥っている。
交通、通信インフラが壊滅しているために連絡がとれないためもあるが、在住日本人で安否が確認できたのは30人。日本大使館は現地の警察、軍、赤十字に邦人情報の連絡を依頼している。在住者のほかに旅行者もいたとみられる。レイテ南部に在住16年という日本人は、電話で「日本人はたくさんいるが、ひとりも連絡がとれない」と話す。
2月(2013年)までレイテ島の大学で日本語を教えていた菱沼正明さんはきのう12日(2013年11月)、茨城の自宅から現地に電話をいれたが「つながらないという信号になる」という。タクロバンの知人送ったメー ルにも返事がない。確実に連絡がとれたのは4人だったという。菱沼さんによると、在住日本人の圧倒的多数は定年退職後に余生を送る人たちで、多くが現地の人と結婚しているという。幼い子どもを抱えた人も多く、テレビで見るタクロバンでの被災状況から「ものすごく心配だ」と話す。
日本人会関係者「海岸沿いの人はやられちゃってんじゃないか」
レイテ島の日本人会の永瀬慎太郎さんと電話がつながった。永瀬さんはタクロバンの南のボントックに住む。永瀬さんの話ではレイテ全島が停電で、固定電話はつながらない。かろうじて一部の携帯電話がつながるが、これもタクロバンではまったくダメという。「20メートルの波が来たというから、海岸沿いの人はやられちゃってんじゃないか」
道路もがれきで埋まっていてタクロバンには近づけない。連絡のついた人から「あの地域とあの人は大丈夫らしい」という形で消息を得るしかない。ボントックでは市場で食料も買えるし、水道は止まっても井戸があるのでなんとかなるというが、自家発電と車の燃料が買えない状態だ。
司会の井上貴博アナ「いまいちばん必要なものはなんですか」
永瀬「ガソリンです。食料はなんとかなるが、水をくみ上げるにはガソリンがいります」
日本政府きのう国際緊急援助隊として50人規模の自衛官の派遣を決定した。きょう13日午前、37人が民間機でマニラへ向かう。現地では医療、物資輸送にあたるが、大型輸送艦の派遣も検討している。