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中国政府が恐れる漢族暴動!都市部の不動産強制収用で爆発寸前

   10月28日(2013年)に北京の中心にある天安門広場で起こった自動車爆破テロは、大きな衝撃を習近平体制に与えたと『週刊現代』が報じている。私は週刊現代の中国情報は信頼できると思っている。それは編集者の一人に北京大学に留学して、奥さんが中国人という中国事情に精通した人間がいるからだ。私が知る限り、週刊誌の中で、評論家やジャーナリストに頼らないで、自分の人脈だけで記事が書けるのは彼しかいないと思う。

   さて、その事件で、乗っていたウイグル族の実行犯3人を含む5人が死亡し、付近を歩いていた観光客ら40人が負傷するという惨事になった。ウイグル族は中国西端の新彊ウイグル自治区に住む人口約1100万人の少数民族だ。敬虔なイスラム教徒だが、中国からの独立志向が強いため長年にわたって中国政府と対立を繰り返してきた。週刊現代によれば、新彊ウイグル自治区では、習近平総書記が国家主席に就任した今年3月以降、報道されているだけでも 10人以上の死者を出す事件が3度も起こっているという。

   獅子身中の虫であるウイグル民族を弾圧するために、習近平はこんな作戦を考えているというのである。ウイグル民族の中国からの分離独立を組織する「世界ウイグル会議」副総裁のイリハム・マハムティ氏は語る。

<「第一に、ウイグルの農民の土地を奪い、その土地を、たっぷり国から手当をもらって移住してきた漢民族に引き渡す。第二に、土地を奪われて生活苦に喘ぐようになったウイグルの子供たちを、学習と就業の機会を与えるという口実で、中国の農村部に移住させる。そうやって、現在の1100万人を500万人にまで半減させようとしています。そうした上で、残った住民に徹底的な弾圧を加え、ウイグル人を羊のように黙らせるという狙いなのです」>

   習近平総書記にとって、新彊ウイグルは少数民族問題であると同時に、資源問題、そして地域の覇権を取ることでもあるのだというが、ロシアがチェチェンに対して行った暴挙がウイグルに対して再び繰り返される恐れがあるようだ。

   週刊新潮はこの事件について少し違う見方をしていて、亡くなった3人をテロリストとするには無理があると書いている。なぜなら、車内で死亡した中には70歳になる母親がいたからだそうだ。中国ウオッチャーによるとこうだ。

<「自爆した家族は、土地・家屋を強制収容されていました。地元政府に撤回を求めたものの拒否され、中央政府に陳情するためにわざわざ北京まで出向いてきたのです。ところが、そこでも門前払いの扱いを受け、絶望の果ての、死を賭した抗議だったとの見方が有力になってきています」>

   中国政府がそれを犯行動機として認めないのは、週刊新潮によれば、北京・上海などの都市部でも再開発目的の不動産の強制収用が頻繁に行われているからだという。<「実際、あちこちでそれに伴う住民のデモや暴動が起こっています。もし、自爆事件の動機が民族問題にかかわることではなく、強制収用ということになれば、同じように不動産を奪われた漢族などの不満も煽ることになり、燎原の火の如く暴動が中国全土に一気に拡大することを恐れてなのです」(中国ウオッチャー)>

   経済大国中国が抱える問題はこれからますます深刻度を増すことは間違いない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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