騙されるだけじゃすまない「成型肉」内部にO‐157が残っているレア
有名ホテルから料亭、デパートまで、「偽装表示」が次々に明らかになっている。芝海老ではなくバナメイエビでした、九条ネギではなくそこらの普通のネギでした、車海老ではなくブラックタイガーでしたとなると、明らかに「偽装」ではなく「詐欺」だと思う。
奈良にある近鉄系の「奈良 万葉若草の宿 三笠」では、和牛と称していた肉がオーストラリア産の成型肉だったというのだ。店を怒るより、そんなものを食べさせられて満足していた客の舌の鈍感さが気になるが、成型肉とははてどんなものなのか。
『週刊新潮』の食の安全を考える会・野本健司代表によれば、成型肉とはこうだ。<外国産牛のモモ肉などブロック状に細切れになった赤身の肉に、酵素添加物をまぶしてやわらかくし、型に入れ、結着剤で人工的に固めたもの>
米沢牛の10分の1程度の値段だから、店にとってはボロ儲けである。しかし成型肉には安全性に問題ありだという。野本氏が指摘する。<「成型肉を焼いても、肉の内側に菌が残る可能性は排除できず、O-157が肉の中に残った状態で提供される恐れもある。だから成型肉の調理法はウエルダンしかありえないのに、店側がその危険性を理解せず、焼き加減の好みを客に尋ねてレアで出すことがある>
安いものにはそれなりの理由があるのだ。では値段は張るが国産牛を食べたいと思ったらどうすればいいのか。店自体を識別する方法を、精肉店が教えてくれる。<「10年ほど前から、農水省は国産牛に個体識別制度を導入しました。畜産農家で牛が生まれると、生後すぐに1頭ずつナンバーが割り振られ、DNAが検体ごとに採取される。そして肉屋もレストランも、和牛を使うメニューを提供する以上、この識別番号を店頭に掲げないと商売ができなくなった」>
個体識別番号を店に明示しているかどうか、店側に尋ねればいいというのだ。焼き肉屋でも壁に貼ってある所も多くなったから、そういう店は安心できそうだが、それすら「偽装」だったらどうしよう。