日本版・国家安全保障会議(NSC)のトップ局長ポストで復権狙う外務省
NSC事務局トップである国家安全保障局長のポスト争奪戦も激しいようだ。現段階でリードしているのは外務省とされる。安倍首相の外交ブレーンである谷内正太郎内閣官房参与がそれである。防衛省幹部はその意義をこう話す。
<「そもそもNSCは、外務省が他省庁のネットワークや権益を組み込んで、活動を拡大するような組織です。それはもはや『新・外務省』『外務省の特殊部隊』と言っていいレベル。そこに、谷内氏が下馬評どおり事務方トップに君臨すれば、機能低下が指摘されて久しい外務省の完全復権を意味するのも同然です」>
しかし、軍事ジャーナリスト神浦元彰氏はNSCができても軍事情報はダダ漏れになると指摘している。たしかに、今年5月(2013年)、元米中央情報局(CIA)職員で元米国家安全保障局(NSA)勤務の経験もあったエドワード・スノーデン氏が、NSAの情報収集をメディアに告発したし、 2010年11月には、内部告発サイト「ウィキリークス」に米国の機密文書が公開された。漏えいしたのは陸軍上等兵のブラッドリー・マニング被告であった。今年8月の米軍事法廷で、被告には35年の禁固刑が言い渡されたが、軍や警察官の機密漏洩罪を厳しくしても、高い知識やモラルを持って国民の不利益になる情報を公にする人間は後を絶たないはずだと神浦氏は見ている。
翻って日本を見た場合、公務員はもちろん、メディアにいる人間たちの中にそれほどの良識と実行力を持った者がいるだろうか。日本版NSCと特定秘密保護法が成立すれば、日本にはどうでもいい情報だけが溢れ、国民は何も知らされないままアメリカのいいなりに「集団的自衛権」行使ができる国に変容し、いつか来た道を辿ることになりはしないか。心底心配である。