褒章で人命救助などに尽力した人に贈られるのが紅綬褒章だ。「週刊人物大辞典」コーナーで取り上げた、東京・大田区でトラックドライバーをしている國吉正男さん(61歳)もそんな一人である。
司会の羽鳥慎一「褒章の理由は、昨年5月(2012年)に自宅近所のアパートで火災が起こり、70代の男性がアパートの中に取り残され、國吉さんが火の中に飛び込み助け出したからでした」
消防署の感謝状授与式も「ジャージにサンダル履き」
國吉さんはこう話す。「仕事帰りに見たら煙がひどくて、窓から火が噴いていました。近くの人に誰か中にいるのかって聞いたら、いるみたいだと。それじゃ助けにいかなきゃいけないと思って飛び込んだ。中に入ったらその人が放心状態でボーッと立っていました。『何をやっているのだ。こんなところにいたら死んじゃうよ』って外に引っ張り出しました」
本人は当たり前のことをしただけと思っているから、消防署で行われた感謝状の授与式にも、國吉さんはジャージにサンダル履きといういつものスタイルだった。「だって困っている人を見たら助けるのは当然のことでしょう」と國吉さんは褒章受章を不思議そうに言う。
妻の加乃子さんは「自分が思ったら行く人。今回の火事でも、危なかったよって言ったらそうだねって。人間って、気持ちが大事じゃないですかね」と話す。
「助けなきゃ!」頭ではわかっていてもなかなか体は動かない
羽鳥「最近、國吉さんが心がけているのは挨拶だそうです。高齢者の一人暮らしが増え続けている中、朝夕に出会えば必ず挨拶をしているそうです。挨拶をきちんとすること。これは幼い頃からの祖母の教えだったそうです」
コメンテーターの長島一茂(スポーツキャスター)「気概を持って行動するという大人たちが減っている。そうした中で、國吉さんのような人がいることを知って何かホッとする」
吉永みち子(作家)「人を助けなければということは誰でも頭の中では理解しているはずですが、その場に遭遇したときに身体が動くかどうかは難しい問題ですよね。私は動けなくなると思う」
先月(2013年10月)、大阪の淀川で溺れている小学生を助けた中国人留学生・厳俊さんにも紅綬褒章が贈られた。