いまやテナント頼みの不動産業
レストランなどテナントとの力関係も逆転している。垣田は現状をこう見ている。「昔は百貨店に入るということがステータスだったんですよ。いまは逆で、百貨店のステータスを上げるために有名店に来てもらいたいという関係ですね」
今回の偽装表示問題で百貨店側は再発防止策として、「レストラン担当者と定期的なミーティングを行い、メニュー表記の厳密な点検を行う」(三越伊勢丹HD)、「取引先と表示内容と原材料の確認を実施する」(そごう・西武)といったことを上げている。
だが、これについても垣田は「意味がないと思いますね。テナントは別会社なので、ここに入り込むことは基本的に無理なんです。テナントにもプライドがありますから、いつどこから何を仕入れたのか伝票を見せて下さいというのは無理なんです。チェックはできないんです。ですから、契約の段階で責任の所在を明確にすることが重要です。お金の問題も、どこが払うのかきちっとしておかなければいけません」
百貨店は小売店のプロとして存続するのか、テナントを貸し出す不動産業に転じるのか岐路に立たされているという。
文
一ツ石| 似顔絵 池田マコト