ゲストの大澤孝征弁護士(元検事)は「鉄のような塊の自動車が高速で走り抜けようとする。その車に跳ね飛ばされた身体がタンパク質でできている人間がどれほどのダメージを受けるかは一目瞭然でしょう」と話す。衆院本会議は昨夕(2013年11月5日)、悪質な自動車運転で死傷事故を起こした場合に適用する罰則を強化する法案を全会一致で可決した。しかし、悪質運転で家族を失った遺族からは「これではまだまだ軽すぎる」という声が出ている。
「判決見て、息子の命はこんなに軽かったのかと…」
無謀運転で愛娘を亡くした中江龍生さんは「罰則は強化されたけど、後に残された遺族が納得できるような内容ではない」と語る。19歳の息子を奪われた佐藤悦子さんは「加害者の判決公判を傍聴しました。私は危険運転致死傷罪(懲役20年以下)での判決を求めました。でも、内容は数年間の判決。息子の命はこんなに軽かったのかと思いました」と悔しさを滲ませた。
高村智庸リポーター「今回の法案は、飲酒や薬物使用などの影響による死亡事故を起こすと懲役15年以下になります。負傷事故では懲役12年以下とする罰則が創設されました。法案は危険運転致死傷罪(懲役20年以下)に次ぐものとして新たな罰則を設けた形となっています」
重罰キャンペーンで抑止効果
司会の羽鳥慎一「これで悪質運転の罰則が強化されたといえるのでしょうか」
大澤弁護士「感情のもつれから殺人事件を起こした場合、懲役10年という判決が出ることがあります。今回の罰則強化はそれよりも重い罪になるということを物語っていますが、それを広く知らせるためには、マスコミなども協力した周知徹底が必要です」
高村は「遺族の間からも、罰則は強化されたが、警察の捜査には不十分なところがまだまだある。また、残された遺族への警察や行政からのサポートも十分に行われていないという声が上がっています」と報告した。
大澤弁護士は「今回の罰則強化を広げるためには、学校での道徳教育などを通じた指導も必要でしょう。自転車による事故と同じように、最低限の交通ルールを子供たちに教えていく必要があります」と話す。罰則強化で悪質運転が減ることを願うばかりだ。