後手に回る「文化財保護法」文科省ようやく実態把握指示
いまや海外流出も懸念される事態となっている。中国人投資家の影だ。中国では不動産ブームに代わって、美術品が新たな投資対象になっている。あるブローカーは「中国人の金持ちが重文がほしい。いくらでもいいから調達してくれという。1体3億円前後。いいものなら青天井と言ってくる」と明かした。山県上山市の美術館は3年前、訪れた中国・大連の美術商グループ10人から収蔵品を売らないかともちかけられた。美術館の収蔵物件は4000点、国の重文もある。むろん断った。
文化庁の江崎典宏・美術学芸課長は「アジアの新興国が日本の美術品の需要国になっていて、文化財流出のリスクは昔より高まっています」と語る。しかし、文化財保護行政は文科省副大臣がようやく緊急に実態把握をすすめると指示を出した段階だ。
三宅久雄・奈良大教授は「(文化財保護法の)性善説は限界です。危険な状態を止めないといけない」と仕組みを見直す必要をいう。「個人でもお寺さんでも、自分のところに何があるかを把握して記録する。そこから始めて欲しい」と呼びかける。
あらためて、そんなレベルなのかと驚く。仏像が信仰の対象でなくなって久しい、日本の文化が負うべきツケなのかもしれない。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2013年10月31日放送「追跡 消えた重要文化財」)文
ヤンヤン