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大王製紙の井川意高前会長「仰天ギャンブル中毒」一晩で3億円スッて22億円儲けてまたスッテンテン

   スリルは賭けた金額に比例する。ギャンブル好きには有名な言葉だが、国内シェア3位の製紙メーカー、大王製紙の井川意高前会長(49)はさぞかし最高のスリルを味わったことだろう。

   彼が東京地検特捜部に逮捕されたのは2011年11月22日のことだった。その後の裁判で、カジノの借金を返済するために関連会社7社から計55億3000万円を不正に借り入れて損害を与えたという会社法違反(特別背任)の罪に問われ、最高裁は今年6月(2013年)、井川前会長の上告を棄却して懲役4年の実刑判決が確定した。

   彼はいま栃木県の「喜連川社会復帰促進センター」にいるという。独占手記を『週刊新潮』が掲載している。よくもまあ書く気になったと思うが、書き方は淡々としている。

   彼が国内の違法カジノに顔を出すようになったのは、六本木のクラブで働くママの紹介だという。それから裏カジノに誘われ、気が付けば数か月で8億円も負けていたことになっていた。それからしばらくはカジノから遠ざかっていたが、バカラ漬けになるマカオを訪れたのは2006年からだった。集中力が削がれるので、バカラの最中には酒を1滴も飲まない。アドレナリンが出ているから食欲もあまりなく、サンドウィッチやスパゲティーなどを口にするぐらいだったという。ギャンブルとは臨死体験だともいっている。<勝てば返し、負ければ借りるを繰り返した揚げ句、11年の3月には、資産管理会社と関連会社を併せて借金総額は50億円に膨れ上がっていた>というからすごい。

   遅くとも、関連会社が中間決算を迎える9月までには20億円の借金をなんとか返さねばならなかったそうだ。<私は主戦場をマカオからシンガポールに移す必要に迫られました。(中略)ここは1回に賭けられる上限が、マカオの1.5倍、3000万円だったからです>

   早く取り戻さねばならないと、毎週末シンガポールに向かったという。一気に挽回しようとし、3億円からバカラをスタートした。しかし彼のチップはみるみるうちに減り続け、最後には2万5000シンガポールドル(約150万円)のチップ1枚だけになってしまった。そこから4時間余りの間、連勝につぐ連勝で、150万円から一気に22億円まで盛り返したという。

   しかし、<最後の最後までバクチを打ってしまう私の性格に加え、勝ち続けた高揚感も手伝って、次に倍の40億円に増やすことができれば、即座に借金を返済できると考えてしまったのです。結局のところ、すべてのチップを失うことになってしまいました>

   ギャンブルで、カネはもちろん社会的な地位も名声もすべて失った彼のこれからは苦難の道であろう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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