東京電力が黒字だって!?カラクリは賠償金を国が用立て除染費用も踏み倒し

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福島原発事故後、世界で最も「脱原発」に成功している日本!やっぱり再稼働はいらん

「東電、3年ぶりの黒字 値上げ・コスト削減 中間決算」(11月1日付『朝日新聞』)

   この朝刊1面の見出しを見て驚いた人は多いのではないだろうか。<全国の10電力会社の2013年9月中間決算が31日にでそろい、電気料金を値上げするなどした東京、関西電力など5社が経常黒字になった。東電は人件費などのコスト削減にも努めた結果、保有する原発が止まった状態でも3年ぶりに1416億円の黒字となり、前年同期の1662億円の赤字から急回復した>というのである。

   人件費の削減や設備投資や修繕工事の先送りをしたこともあるが、<昨年9月からの家庭向け電気料金の値上げで、今年4~9月の売上高が1770億円増えた>ことが大きい。

   だが、いちばんの黒字化の要因は、福島第一原発事故の賠償金3兆円を国が用立て、3兆円を超すといわれる除染費用もほとんど払っていないからだ。それでも原発の再稼働をしなければ経営は苦しいなどと寝惚けたことをいっている。自分のところの「大不祥事」の費用を国や国民に押し付け、事故を起こす可能性の高い原発を再稼働して金儲けしようというのだから、あきれ果てて開いた口が塞がらない。

   今のままでも火力発電を使っていれば電力は十分に足り、黒字化もできるのだから、安倍首相も産業界も再稼働は断念して、東電を福島第一原発の事故処理から遠ざけ、国主導で汚染水の処理や除染も含めてやるべきである。

   10月31日の朝日新聞で小熊英二慶応大学教授がこう書いている。<福島第一原発事故後に、もっとも劇的に脱原発した国はどこか。そう質問すると、多くの人が「ドイツ」と答える。しかしドイツは、政府が脱原発を宣言したが、実際には多くの原発を動かしている。

   では、政府は宣言していないが、実質的に脱原発した国はどこか。いうまでもなく日本である。いま日本では、一基の原発も動いていない>

   脱原発という状況をつくったのは誰なのか。<政治家がリーダーシップをとったのか。賢明な官僚が立案したのか。財界やマスコミの誘導か。アメリカの「外圧」か。いずれでもない。答えはただ一つ、「原発反対の民意が強いから」だ。それ以外に何かあるというなら、ぜひ挙げてみてほしい>

    小熊教授は<11年6月には「段階的に減らして将来は止める」が約7割という程度だったものが、13年6月には「再稼働に反対」が約6割を占めた。つまり民意の脱原発要求は、水準が上がっているのだ>と説く。脱原発は小泉元総理でも山本太郎議員の力でもない、この国の民の総意なのだ。小熊教授は<あとは政治家が、この明白な趨勢(すうせい)を認識し、応えられるかの問題だ>と結んでいるが、安倍首相は読んでいるのだろうか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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