天皇、皇后両陛下主催の秋の園遊会が10月31日(2013年)、赤坂御苑(東京元赤坂)で開かれたが、今年7月の参院選で初当選した山本太郎議員が陛下を呼び止め手紙を直接手渡すというハプニングがあった。天皇は山本とわずかに言葉を交わして手紙を受けとり、そばにいた侍従長に渡した。
菅義偉官房長官は「園遊会のような場で手紙を渡すことが相応しいことかどうか。参加した方が常識的に判断すること」と不快感を示したが、宮内庁幹部は「招待客の行動について禁止事項などの規則はないが、常識に反した行為」と呆れる。政界では「政治家の皇室利用になりかねない」「国会議員としてはあるまじき行為」という声が強まっている。
「失礼に当たるという認識はあった。この国を憂う気持があふれた」
山本議員は天皇に直接手渡したことについて、「失礼に当たるという認識はあった」と弁明しながら、「現状をお伝えするという内容だった。たとえば子どもたちの被曝がこのまま進んでいくとこの国がどうなっていくのかということを憂いて、その気持があふれた」と釈明した。
キャスターの小倉智昭は「(山本議員が)原発のことを勉強し、訴えて当選したことはよく分かりますが、国民が考えている以上に陛下は勉強なさっている。被災地に何回もいらっしゃって、避難している方たちにもお会いされている。そういう陛下に対し、現状を知ってもらいたいと手紙を手渡す行動は失礼に当たると思いますよ。だいたい、政治に対して中立の立場を取られている陛下に、国会議員が手紙を手渡すのはおかしいでしょう」
無所属で初当選して4か月あまり。人目を引こうと奇をてらった行動に出たと見られても仕方がない。こうした奇抜な行動が真似されれば規制が入り、皇室と国民との距離がまた遠くなる。そうしたことも読めないのだから、国会議員の資質に欠けるといわれてもやむを得まい。