中国・北京の天安門で起きた4輪駆動車突入・炎上事件で、公安当局は新疆ウイグル自治区のウイグル人による犯行という見方を強め、実行犯の3人の他に8人が事件に関与していると見て、8人の指名や身分証明書番号、戸籍を列記した通知書を市内のホテルなど宿泊施設に配布している。
人民大会堂や要人居住区「中南海」狙った自爆テロ
中国事情に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏は「天安門広場のすぐ近くには中国共産党大会が開かれる人民大会堂や中国要人たちが住む中南海があります。治安当局はこれらのうちのどれかが狙われたのではと大きな衝撃を受けたと考えられます」と見る。
中国外務省報道官は「新疆ウイグル自治区は経済発展に取り組んでいます。魅力的な土地に生まれ変わりつつあります」と平穏であるかのように伝えたが、中国出身の評論家・石平氏は「中国政府は長年にわたってウイグル人を弾圧してきました。それに対する抗議として今回の事件が起きたと考えられますが、中国政府が正式にウイグル人によるテロだと認定すれば、弾圧はより強まるでしょう」と危惧した。
治安当局は全国波及警戒
司会の羽鳥慎一が中国総局の青木俊憲記者に「中国当局は厳しい情報統制を行っているといわれていますが、どうでしょう」と聞く。青木は「ネットなどに投稿される事件に関する報道や批評は次々と削除されています。事件を伝える日本のNHKのニュースも即座に消され、放送が消されたというニュースを伝えようとした放送もすぐに消されました。事件が起きたことを知らせたくないという姿勢が窺えます」と伝えた。
コメンテーターの萩谷順(法政大学教授)「いまの中国のあり方に、ウイグル人だけではなくいろいろな勢力が疑いを持っています。これまでの中国革命の精神は、貧しくても外国人に支配されない自分たちの国を作ろうというものだったが、いまはその精神を忘れている。今回の事件をきっかけに、類似の事件が起きなければいいですね」
経済成長に陰りが見え始めた中国は、国内の不満が爆発寸前に来ているのだろう。