日本時間のきのう28日(2013年10月)午後1時ころ、中国・北京中心部の天安門広場の橋の欄干に小型四輪駆動車が突っ込み炎上した。車に乗っていたの3人と巻き込まれた観光客2人が死亡、日本人観光客1人を含む38人がけがをした。天安門広場は車道と歩道の間に二重の柵があるが、車は歩道から侵入して、毛沢東の肖像がある天安門正面に近い部分に突っ込んだ。
「人民」の不満爆発!北京空港では爆竹、アモイでバス放火
事件直後に現場はついたてで隠され、付近一帯も一時封鎖されたが、中国版ツイッターに掲載された画像では、車の燃え方は激しく、普通の事故でないことは歴然だ。目撃者によると、車の男たちは黒い旗を振っていたという。政府への抗議行動の可能性が強いが、政府は詳細を伝えていない。新華社などのメディアも交通事故として簡単に伝え、テレビも新華社の記事を読んだだけだった。外務省報道官は「状況を把握していない」とにべもなかったが、ツイッターでは「交通事故? 上手いいい方をする」などと書き込みがあった。
北京の井上洋一支局長は「事故ではなく事件との見方が強まっています。先ほど北京市当局は『事件の捜査を進めている』と発表しました」と伝えた。
中国では地域格差、所得格差、官僚の腐敗などへの国民の不満が高まっている。不満を爆発させる事件が続いていて、7月には北京空港で車イスの男がビラを撒いて爆竹を鳴らした。6月には福建省アモイでバスの乗客がガソリンをまいて放火し、47人が死亡した。
井上支局長は「今回の事件は天安門という中国の中心なので、なんらかの強い意図を示すものかもしれません。当局は病院のけが人にメディアを接触させず、事件の状況を語られたくないという意図が感じられます」という。このため、日本人のけが人にも接触できなかったが、命に別状はないという。
生活追い込まれ「最後に一矢報いてやる!」
中国に詳しいジャーナリストの富坂聡氏は「今回も事件だろう。地方ではプロパンガスを積んで政府庁舎に突っ込むとか、いっぱい起こっています。天安門でやるというのは、とくに強い政治的メッセージになります」と話す。
司会の井上貴博アナ「地方の動きというのは、どういうものですか」
富坂「生活がたちいかなくなって、最後に自分を苦しめた社会に対して一矢を報いる。それがまたネットで支持を集めています。真似をする動きもあるようです」
三屋裕子(スポーツプロデューサー)「高速鉄道の事故のときも列車を埋めたりしましたよね。今回もあっという間に現場を片付けてしまったけど、外国人がいるところでやった狙いはありますよね」
富坂「そうですね。訴える場所がない。ガスだけがたまっちゃってるんで危険です」
中国では来月に中国共産党の中央委総会「三中総会」がある。富坂氏は「これを狙ったとすれば、相当に政治的だ」という。
突っ込んだ3人はガソリンを持っていてまいたという。一種の焼身自殺ではないのか。