宅急便最大手「ヤマト運輸」のクール宅急便で、一部営業所で今夏(2013年)、猛暑のさなかに常温で扱われていたことがわかった。通常の宅配便より210円~610円多く払えば鮮度を保ったまま低温で送ることができる便利なサービスだが、作業員のずさんな温度管理で一時は荷物が27度まで温度が上がっていたことが確認されている。
会社関係者がその模様を撮影した動画をもとに朝日新聞社に内部告発し、「とくダネ!」が映像を紹介した。
保冷施設ない地方営業所4000か所
隠し撮りされた動画は都内の営業所で仕分け作業中を撮影したもので、保冷車のコンテナが開け放され、外気にさらされた状態で仕分け作業を進められていて、「冷凍」「冷蔵」のシールが貼られた荷物が外に放置されたままになっていた。動画を撮影した関係者が今年8月、試しに温度の変化を測定・記録できる機器を仕込んだ荷物を自らクール宅急便で発送したところ、荷物の温度が一時27度まで上昇していたという。
クール宅急便の荷物は、送り主→保冷車→地域の営業所→地域ターミナル(複数を経由)→地域の営業所→保冷車→受取人の順で届く。物流の拠点となる地域ターミナル(全国約70か所)には、温度管理された中で仕分けができる大型保冷施設があるが、地域の営業所(全国約4000か所)には保冷施設はない。
このため、ヤマト運輸では営業所内での保冷コンテナからの荷物の出し入れは開け閉めを迅速に行い、「仕分けは5分以内」「荷物が外気にさらされるのは30秒以内」という『530仕分け』という社内規則を設けている。しかし、一部の営業所ではそれが守られていなかった。ヤマト運輸が指摘を受けた問題について調べたところ、温度管理のルールを守っていなかった営業所は200か所もあったという。
サブキャスターの菊川怜(女優)「傷んだものを食べてお腹をこわしたら大変ですよね」とあきれたが、ヤマト運輸によると、今のところ腐っていたという苦情は来ていないという。