1992年にクリント・イーストウッド監督によって製作された「許されざる者」を、明治維新期の日本に舞台を移したリメイク作品である。監督は「フラガール」の李相日で、渡辺謙はクリント・イーストウッド、佐藤浩市はジーン・ハックマン、柄本明はモーガン・フリーマンの役どころを演じる。アメリカは西部劇、日本は時代劇、文化は違えど映画で描かれている命題は共通である。
許されざる者はだれなのか?理不尽な権力者か、暗殺者か…
明治13年、幕末動乱を幕府側に立って暗躍し、「人斬り十兵衛」と恐れられていた男(渡辺謙)は刀を捨て、子供2人を養いながら北海道の開拓地で農業を営んでいた。そんな折、大石一蔵(佐藤浩市)が支配する街で、無法者2人が女郎の顔を切り刻む事件が起きる。女郎たちは大石に2人の厳罰を要求するが相手にされなかった。納得のいかない女郎たちは金をかき集め、賞金を餌に2人を殺してくれる人を探す。
それを聞きつけた十兵衛のかつての友、金吾(柄本明)が一緒に賞金を稼ごうと十兵衛を訪れる。人殺しという罪の意識から逃れようと刀を捨てた十兵衛は、頼みに悩むが、極貧生活を強いてしまっている子供たちのためにもう1度刀を手にする。
アイヌ人が迫害されていた時代背景がていねいに描かれる。柳楽優弥演じるアイヌ男の侮辱されることへの怒りや、そのために虚勢を張る演技は秀逸だ。北海道はあの時代、困窮の極みの土地で、懸命に生きる人の姿は際立って見える。ズシリと伝わるものがある。
「許されざる者」は誰なのか、人々を傍若無人に人を踏みにじる大石一蔵なのか、人斬りの十兵衛なのか、もしくはすべての人間なのか。
PEKO
おススメ度☆☆☆