「和食」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録される見通しとなった。「和食」といってもいささか広うござんすが、いわゆる会席料理ではなく、一般庶民の「一汁三菜」だという。それってもうなくなりかけてるんじゃないの?
フランス料理、地中海料理、メキシコの伝統料理、トルコの麦かゆ食に続き5件目
日本の無形文化遺産では、すでに歌舞伎や能、京都の祇園祭など21件が登録されているが、食では初めて。食ではフランス料理、地中海料理、メキシコの伝統料理、トルコの麦かゆ食があり、「和食」は5件目になる。まだ「中華」はない。中国は文化遺産の登録項目が多くて、食は後回しということらしい。
文化庁の推薦を事前審査していた補助機関が登録を「勧告」したもので、この勧告が拒否された例はなく、12月(2013年)の政府間委員会(アゼルバイジャン)で正式に登録となる。同様に韓国の「キムチ」も登録されるという。
何をもって「和食」とするか。庶民の食習慣「一汁三菜」が季節の食材や地理的条件、さらには行事とも結びついている点がポイントになったという。 高級な懐石、割烹とは違うということだ。しかし、この登録を進めてきたのは、他ならぬ「京料理」の人たちだった。
最初に動いたのは2004年、「正しい日本料理を伝えたい」という意図だったが、文化庁は「食という分類はない」。たしかに早すぎた。最初の食文化として登録された「フランス料理」が2010年だった。そこで巻き返しに出たが、韓国が「宮廷料理」を「庶民のものじゃない」と見送った経緯などを踏まえ、会席ではない和食となった。
推進してきた京都の割烹「菊乃井」主人で日本料理アカデミー理事長の村田吉弘さんは、「うれしくて、うれしくて。やっとこれでスタートラインに立った」 という。「自分らが食べているものは文化だ。大切に次の世代に伝えなければならないと、そう思ってもらえたら一番いい」