土石流で死者29人、不明16人(23日現在)を出した伊豆大島で、災害当日、東京都から送られた「土砂災害警戒情報」のファクスが6時間も放置されていた。気づいた時には深夜と豪雨で避難勧告を出せる状況ではなく、2時間後に山腹が崩壊した。
防災情報は気象庁から都道府県、さらに市町村へと伝えられ、市町村はそれをもとに避難勧告などの措置をとる大島町では15日夕(2013年10月)、職員は全員帰宅して、台風26号が最接近する深夜1時半に警戒態勢をとることにしていた。
受信アラーム5分しか鳴らないファックス
東京都から大島町役場にファクスが入ったのは午後6時頃だった。アラームが鳴り、確認ボタンで受信確認をするのだが、誰もいない。アラームは5分で止まる。確認がないので都は電話をかけた。しかし、警備員が1人だけで、詰め所は地下1階だった。防災担当課は2階だ。
都はあわてて都の出先機関と連絡をとり、「大島町が深夜に警戒態勢をとる」ことがわかった。都の担当者はファクスの受信確認のないまま、なぜか警戒情報は伝わったものと思い込んだ。町の担当者がファクスを見たのは約6時間後の16日午前零時ころだ。雨は1時間80ミリに近くになっていて、避難はかえって危険な状況だった。
その場に人がいないと伝わらない都道府県から市町村への伝達
「朝ズバッ!」は他県がどうなっているかを調べた。千葉県は気象庁の情報はそのまま自動的に市町村へ流れる。市町村のファクス端末のアラームは受信確認ボタンを押すまで鳴り続ける。電話でも最後まで確認をとる。千葉市は夜間でも宿直者2人が情報端末近くで待機しているという。
しかし、都道府県から市区町村への伝達方法はさまざまだった。ファクスでというのは東京、香川、徳島、高知。パソコンが9県、パソコンとファクスが北海道と2府31県だ。2系統あるのは、「リスク回避のため」(千葉県)という。
司会の井上貴博アナ「こんなに違うものなんですか?」
元鳥取県知事の片山善博(慶応大教授)は「トップや防災担当の姿勢でずいぶん違ってきますね」という。
受信機器も千葉のようにアラームが鳴り続けるもの、一定の時間で止まってしまうもの(東京都)がある。受信確認ができなかった場合、「必ず電話で確認」が1都2府27県。「警戒レベルによって確認」が北海道道と16県だった。三重では職員が直接訪問するという。
防災担当者の携帯・自宅の連絡先を把握していないのは2府11県で、東京都もそうだったが、「きのう(22日)、ほぼ把握した」という。
井上「システム構築にはコストがかかるのでしょうか」
片山「いや、普段が大切。普段から関係者が集まったり、情報交換をやっているかどうか大きいですね。トップの姿勢の違いもある」
野村修也(弁護士)「最近は『既読』というのがある。ああいう形を取り入れたらどうですかね」
今回も「思い込んでしまった」というのがあった。こればかりは機器でもシステムでも救えない。