台風26号の影響で死者27人、行方のわからない人17人という甚大な被害をこうむった伊豆大島に再び27号が接近し、大島町役場は元町地区を中心に島民約2300人に避難勧告を出した。しかし、実際に避難した島民は約650人。なぜ多くの島民は避難しなかったのか。
店開けてる商店「お客来るから」
井口成人リポーターが元町にいた。「けさ午前8時(2013年10月21日)に避難勧告が解除されましたが、昨夜の6時過ぎに雨は一段と激しくなりました。このため、元町地区のあちこちが停電となり、町役場も30分ほど停電しました」
井口は避難勧告が出ていた昨夜の元町商店街を取材していた。「避難勧告が出ていても店を開けている商店もあります」と伝える。なぜ避難しないのか。食品店の店主は「残っている人たちが食料品を求めてやってきます。簡単に店を閉めるわけにはいきません」と話す。また、ガソリンスタンドも営業している。「ガソリンを求めて消防や自衛隊の車両が来ます。捜索活動の今後を考えると、自分たちの都合だけでは閉めにくい」と困惑した表情を浮かべた。
防災無線鳴りっぱなしで「うるさい」と聞かず
司会の羽鳥慎一「避難勧告は住民に行き届いていたはずですが、それでも避難しないというのはなぜでしょう」
防災システム研究所の山村武彦所長はこんな説明をした。「防災無線の受信機は各家庭にあります。でも、防災無線といっても以前は生活無線で、東京行きの船は何時に出るなどのお知らせが多かった。今回、私が現地調査に入ったら、この防災無線がほぼ1日鳴りっぱなしでした。それで、うるさいとボリュームを落とす人がいました。
26号の時のことで役場が過敏となり、それに住民が戸惑いを感じているという面もあると思います」
羽鳥「さらなる被害を防ぐためには、何が必要でしょうか」
山村「島のあちこちには手つかずの26号による爪痕が残っています。こうした場所を役場が調査をして正確な情報を住民に伝えること。このあたりという情報ではなく、ピンポイントの情報を伝えることです」
コメンテーターの石原良純(気象予報士・タレント)は「避難勧告を出したからそれで終わりというわけではない。人によって情報の受け取り方が違いますからね。26号で特別警報がなぜ出なかったが問題になりましたが、今回は特別警報が出ていないからまだ大丈夫という本末転倒なことが起きているのではないかと心配します」
羽鳥が「今週末に台風27号が日本に接近するという予報があります。28号も発生しました」と伝える。この10月は台風が実に多い。