<R100>
分かる奴だけに分かればいい…松本映画ここまできたか!観客の「金返せ」も計算の内

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原作なしで撮り続ける松本人志の映画こそ貴重

   「どうせお前らには理解できない」というメッセージが分かりやすいので、お金を払った観客が憤慨してもそれは仕方がない。松本監督が作中で話のスジに影響を与えない役で出演していて、この虚構を悦に入っている人物が違う役者であることに、自己言及が崩壊しているという観客もいるだろう。だが、「お前らには分らない」と決め込んで映画を製作することは、間違っていない。松本監督や本作云々ではなく、映画監督を目指す――映画の世界で本気で生きていこうとする人間は、社会的な欠落者である。まっとうに社会と共存できていれば、映画など撮る必要がないのだからだ。それでも映画にしがみつきたいと思う気持ちは100人いて1人に伝われば十分だろう。視聴率の世界から入り込んできたテレビの世界の人間が映画界の主流になってから、100人いて100人に分からせようとする映画が増えすぎた。作り手も観客も大多数的な映画を作り、観るようになる。皆が同じシーンで驚き、皆が同じシーンで笑い、皆が同じシーンで泣くという映画が主流になってしまっている。

   「R100」は筆者にとっては傑作とは程遠い。だが、画一化された映画を観て満足している観客にネットなどで低く評価されている松本人志監督が、小説やコミックなど原作がある作品で映画を撮っていないことこそが、日本映画界にとっての希望であると信じている。

川端龍介

おススメ度☆

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