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分かる奴だけに分かればいい…松本映画ここまできたか!観客の「金返せ」も計算の内

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(C)吉本興業株式会社
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   家具店に勤務する平凡なサラリーマンである片山(大森南朋)には妻(YOU)がいる。ただ、妻は病院で寝たきりの状態で、片山が話しかけても返事はない。勤務先と病院を往復する毎日を送っていた片山はある日、秘密クラブ「ボンテージ」に入会する。契約は1年で退会は不可だという。クラブから派遣されたSMクラブ風の格好をしたさまざまな女性たちが片山の前に現れ、「プレイ」は次第にエスカレートしていくのだった。松本人志の監督4作目だ。

怪しいクラブに入会して始まる「虚の世界」

   この映画をざっくりと評するならば、「S」と「M」という分かりやすいようで、抽象的な要素をメタフィクションとして提示させた劇中劇と言えばいいのだろうか。過去の作品との違いは、キャストの芸人色が一掃され、実力派俳優が顔を並べていることにある。

   『大日本人』の皮肉に対して、今作は普通のサラリーマを描き、日常の中から直接的に主張を浮かび上がらせようとしている。「これはフィクション」ですよと意図的に観客に知らせることで、虚構と現実の交錯で監督の言いたいことを炙り出すという手法だ。それは分かりやすく、それほど毒々しくもない。メタフィクションは潜在的に皮肉を孕むので、皮肉が表に出すぎると「観客への喧嘩の売り方」が安っぽくなってしまうということなのだろう。

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