伊豆大島の土石流で生き埋めとなった那知静江さん(76)は、警視庁の特殊救助隊などが夜を徹して救出作戦にあたったが、発見から27時間後のきのう17日(2013年10月)午後1時過ぎ、救出されたがに死亡が確認された。井口成人リポーターは救出が難航したことについて、「那智さんが埋まっていた土中には流されてきた窓枠やガラスの破片があり、那知さんの下半身や周囲には流木が山積み状態となっていました。また、現場は柔らかな粘土質に変化し、小型重機を入れませんでした」と伝えた。
限界まで水含んだスポンジ状態の被災地域…小型重機も入れず
元町地区の海辺に近い場所あった自動車修理工場は跡形もない。修理中だった車は一気に海まで流された。司会の羽鳥慎一が「いまでも地面は柔らかいですか」と聞く。井口は木の枝で土砂を掘り返し、「こんなに簡単に崩れます。これが火山灰を含んだ土石の特徴といわれています」という。
現場で調査を進めている防災危機アドバイザーの山村武彦氏はこう話す。「火山灰は固い溶岩の上に堆積します。大量の雨が降ると火山灰は水を限界まで吸ったスポンジのようになり、後から流れてきた水はその上を通過していきます。でも、今回は水を含んだ火山灰までが押し流されています。想像を超えた雨量があったとしか考えられません。
自分はこれまでいろいろな被災現場を見てきましたが、このような何重にも重なり合って土石流が発生したのを見るのは初めてです」
それにしても、大規模な土石流が発生する危険が迫っていることを島民は気づかなかったのか。山村氏は「僕も昨晩、警戒警報のようなものを防災無線で聞きました。最初のチャイムのような音は聞こえたけど、その後は何を言っているかはわかりませんでした」と話す。
コメンテーターの吉永みち子(作家)「どんなに凄い台風でも住民は町役場などの連絡がなければまだ大丈夫と思ってしまう」
そのとき町長不在!避難勧告発令の代理担当者決めてなかった?
土石流発生当夜、川島理史町長は大島にはいなかった。気象庁は東京都を通して大島村役場に避難勧告の発令を促したが、町長は発令しなかった。「大雨による夜間の避難は危険だと思った。痛恨の極みだ」という。
山本孝二・元気象庁長官は「消防庁の地域防災計画では、警戒情報が出たときに知事など行政トップが不在の時は、気象庁との連絡や住民などとの連絡を誰がするのか明確に定めています。それが今回機能をしなかった」という。
長島一茂(スポーツキャスター)「危険性を行政が住民に教えたのか、教えていなかったのかという問題を超えていますよね。台風からの被害から逃げようとするのは恥ずかしいことではない。体験したことがない災害にあったときに、自分がどうすべきか、何をするべきかを考えておく必要があると思います」
新たに発生した台風27号は26号と同じコースをたどる可能性が高いという。