きのう16日(2013年10月)、関東地方をかすめ北海道沖へ抜けた大型台風26号は、伊豆大島にとんでもない爪痕を残した24時間に824ミリという通常の2か月半分の大雨を叩きつけ。午前2時半ごろに三原山西斜面で大規模な土石流が発生、元町などの集落を押しつぶし、被災家屋は280棟、死者18人、不明39人となった。
局地的な風のぶつかり合いで観測史上1位の記録的大雨
記録で見ると、大島だけが飛び抜けた雨量で、1時間ごとの雨量も午前3時、4時には120ミリを記録し、この時すでに土石流は発生していた。また、午前0時から6時間の雨量は549.5ミリで、観測史上1位になった。
気象予報士の森朗は「大雨の記録は低気圧と前線によることが多く、台風だけでというのは珍しいです。局地的な風のぶつかり合いが原因でしょう」という。アメダスでも大島だけに集中している様子がはっきり出ていた。
土石流が起った川は幅わずか数メートルで、普段はただのミゾみたいなものだという。それが上流の水を一気に集めて、いまは倒木とがれき、車の残骸が山のように積み上がっている。
防災システム研究所の山村武彦氏は「火山灰地は水はけはいいが、短時間の大量の雨を支えきれなかった。複数の場所でこれが起きたのでしょう」とみる。上流といっても、三原山の斜面はせいぜい2キロしかない。雨量がいかにすごかったかということだ。
しかし、大島町は避難指示や避難勧告を出さなかった。深夜だとかえって被害を増やす恐れがあったからだという。気象庁は前夜の早い段階で大雨・洪水警報、土砂災害警戒情報を出していたが、記録的短時間大雨情報が出たのは日付がかわった午前2時32分だった。
フィリピン東海上には次の台風27号
台風は朝の通勤時間帯に首都圏に最接近した。新幹線をはじめ私鉄、地下鉄、高速道路、空の便が止まり、道路もいたるところで冠水するなど一時首都圏機能がとまった。
強風で吹き倒されたトラック、川の氾濫で畑も冠水、千葉・館山では貨物船が座礁した。鎌倉市では住宅の裏山が崩れ、高さ4メートルもある岩が道路を埋めた。神奈川の海岸では小学生2人が波にさらわれて不明だ。町田市でも女性が川に落ちて死んだ。
秋の台風は怖いというのを確認せざるをえない。次の台風27号がフィリピン東方で発生した。これが26号と同じコースをたどる可能性はゼロではないという。