東日本大震災の津波映像が流れた。この津波にも堪えられる「津波救命艇」ができたのだというのだ。南海トラフの大地震に備えたもので、車イスの新アイデアもある。お年寄りや障害のある人を避難させる妙手になるとして注目されている。
ひっくり返っても自力で復原「25人乗りで1週間生活」高知市に配備
津波救命艇はIHI(兵庫県相生市)が作った。国交省四国運輸局の承認を受けて、高知の食品会社が購入してきょう15日(2013年10月)にも高知市に贈られる。全長8.4メートル、幅2.9メートル、高さ3.1メートル。オレンジ色の船体を白い防護材が取り巻いている。
見たところは製作中のようだが、これで完成という。 防護材は高さ5メートルからの落下試験でも、衝撃を吸収し船体を守った。船体は転覆しても自力で復元する構造になっている。何が起るかわからない状況でもまず大丈夫というわけだ。高知では南海トラフの巨大地震で最大34メートルの津波があるという試算も出ている
素早く逃げられない体の不自由な人やお年寄り、子どもを乗せるのだが、収容は25人。ジェットコースターの座席のようにシートベルト付、ヘッドレスト付で、座席や床下には食料、水がある。個室のトイレ、明かり取り窓、取り外し式の照明もあって、25人が1週間生活できる。立ち乗りも可能で、最大34人まで収容可能だ。
値段は900万円。高知市では子どもが多いレジャー公園に設置を決めた。しかし、いつ起るかわからない津波に備えて、7日分の食料、水をどう更新していくのかなど、相当な手間がかかることは間違いない。IHIはあと3年で400艇の販売を目指すという。福祉施設などでは「ぜひ自治体に予算をだしてもらって」と話している。
司会の井上貴博アナ「数が必要ですね」
取材した奥平邦彦レポーターは「あくまでお年寄りや子ども向け。元気な人は走って逃げてください」
押しても乗り越えられない段差…リヤカータイプ車イスなら楽々
車イスにも震災に備えたものが出てきた。車イスは「押すもの」だったのを、人力車よろしく、「引くもの」に変えるアイデアだ。脱サラして「JINNRIKI」を立ち上げた中村正善さんは、弟さんが障害者で、子どものときから車イスを押していた。車イスは障害物があると前輪を持ち上げないといけない。これがなかなかうまくいかない。そこで、テコの応用で前に長い引くためのフレーム(普段は垂直に立てておく)をつけることを考えた。簡単で軽くなり、押すより楽だった。
「リヤカーや大八車と同じです」と中村さんは話す。東日本大震災もこれに踏み切るきっかけになりました。「防災機器」として注目を集め始め、三重・南伊勢町などが採用し、NPOも効果を認めている。
実際にスタジオでやってみた。杉尾秀哉(TBS解説委員室長)が乗って三屋裕子(スポーツプロデューサー)がまず押してみたが、わずかな段差が越えらなない。そこで前のフレームを降ろして引いてみると、前輪がもち上がっていとも簡単に越えた。
「全然ちがいます。比較にならない」と三屋。
これなら後ろから助勢もできるし、物資の運搬もできるという。災害時でなくても用途は広そうである。