追い込まれる「父子家庭」グチる相手なく孤立深める父親…子育て熱心ほど暴発

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母子家庭より世間も行政も冷たい父子家庭

   ただ、この事件についての反響は大きく、ブログやツイッターは1週間で1000件を超えた。そのなかで「明日はわが身。俺も経験している怖さです。先の見えない不安、親としての責任・・・」と綴った43歳のシングルファーザーは2年前にがんで妻を亡くし、保険の営業をしながら3人の子育ての真っ最中だった。男性は次のように語った。

「イラッとスイッチが入ると抑えがきかなくなっちゃうんです。母親の分まで俺がやらなければならないという思い。その思いが強すぎるとどこかにしわ寄せや歪が出てくる」

   ひとり親世帯の支援について研究を進めている立教大学学の湯澤直美教授は、父子家庭の葛藤、苦労にこう語る。「一つには、日本の社会の中で父子家庭の数がとても少ないということで認知されていないということがあります。また、男性が一人で子育てをするモデルがないので、男はこうあるべきだという偏見も強い。子どもを守るために頑張らなければという強い思いのなかで、葛藤を抱えているのだと思います。

   国際的には家族が多様化してきて、ひとり親家庭は一つのライフスタイルとして認知されていますが、日本ではまだ特殊な家族形態と見られがちです」

   国谷裕子キャスター「父親の孤立が深刻な問題になっていますが」

   湯澤教授「(被告の)男性が『男の子だから強くあってほしいと思って育てた』という言葉が印象的でした。逆な見方をすると、自分に対して、男なんだから強くあらねばならないとお父さんは思っていたということです。そうなると、外に助けを求めることはなおさら困難かなと思いますね」

   たしかに、ひとり親世帯は大変なことは分かる。しかし、最も肝心なのは、一人親というハンディを背負いながらいかに歪を与えないで子どもを育てていくか。子どもを中心に考えると、孤立などしている場合ではないはずだが、問題はそういう子育ての悩みを気軽に助言してくれる公的専門機関がないことだ。福祉事務所や児童相談所にそういう機能があるとは思えない。これでは内にこもるしかない。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2013年10月9日放送「父子家庭急増の陰で~虐待死事件の波紋~」)

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