福島原発沖「水泳はできてもシーフードはとても食べられない汚染蓄積」
このところ小泉純一郎元総理が「脱原発」をいい出し、各誌が小泉の思惑をあれこれ推し測った記事を載せているが、『週刊新潮』は小泉政治の「ワンフレーズを弄ぶポピュリズム政治が格差を招き、日本を暗い国へとぶっ壊した」と批判している。週刊新潮は、原発を稼働させなければコスト高が企業や家庭の電気料金に跳ね返ってくるのだから、小泉発言は無責任だと主張している。小泉時代が現在の深刻な格差社会をつくったことは間違いないが、原発再稼働には素直に頷けない。
週刊文春では小泉元首相の講演料が1回200万円だと書いているが、これほどの大金を払ってまで聞く話とも思えない。それよりも、ますます深刻になっている福島第一原発の汚染水問題が気がかりである。『週刊現代』で世界最大規模の独立系研究所である米国ウッズホール海洋研究所のケン・ベッセラー博士は福島近海の汚染状況についてこう語っている。
<「私たちのチームはこれまで4度来日、原発から1キロの所まで近付いて海水などの調査をしていますが、汚染水は漏れ続けています。いくら海水で薄まっても、魚がいる場所としては、福島の沿岸は最悪の場所です。残念ながらいくつかのシーフードについては食べられるレベルではありません」>
当然ながら、「汚染水はコントロールされている」と主張している安倍首相の発言には批判的である。<「海洋汚染はコントロールされているという安倍首相の発言は理解できません。私から見れば、全くコントロールされているようには見えない。
海洋汚染自体は、人体のリスクという観点から言えば、水泳しても大丈夫でしょう。しかし、魚介類の汚染は、魚にガイガーカウンターを当てるだけで検知できるほど高いレベルです。これは、食べても安全とはとても言えないと考えています」>
重要なことは、国際グループによる調査態勢を構築することだとベッセラー博士はいうが、海外に原発を売り込もうと躍起になっている安倍首相は聞く耳を持たないはずである。
いま全力を挙げて取り組むべきは、汚染水問題と東北の復興であるはずだ。そこを蔑ろにしている安倍首相に高い支持があるのが、私には少しも理解できない。