「このバケツが街を救いました」
アナウンサーの小松靖が1個のバケツをもって現れた。相次いで起きた2件の火事を同じ火事と勘違いした東京消防庁の職員のミスで、現場への出動が遅れたが、住民たちのバケツリレーで被害を最小限に食い止めることができた。おととい6日(2013年10月)の夕方、東京・世田谷区の住宅街で起きたことだ。
「2個ずつバケツを持って10回やそこら水を掛けました」普段から協力話し合い
世田谷区奥沢1丁目で、1件目の火事が起きたのは午後4時33分ごろだった。民家で火災発生と119番があり17台の消防隊が出動した。その1分後、約800メートル離れた奥沢2丁目のアパートでも火事が発生。隣家から119番があったが、通報を受けた総合指令室の消防士長(38)は1件目の通報と同じ1丁目の火事だと思い、消防隊を出動させなかった。1丁目の火事は住宅の一部と車庫が燃えたが、けが人はなかった。
慌てたのは2丁目の住民たちだ。近くの女性が話す。「119番したのですが、ウ―ウー鳴っている割には消防車は来ないじゃないって、もう1回119番しに行ったんです」
アパートの隣に住む柴田信行さんは自分たちで消火するしかないと、マスクをして現場に駆け付けた。「もう必死で2個ずつバケツを持って10回やそこら水を掛けました」。ふだんから何かあったら協力しようと話し合っていたので、近所のみんなと協力し、バケツリレーで消火につとめた。
アパートには女性(27)がいたが助け出し、救急車が来ないから待っていられないと、自分たちで病院に運んだ。女性はのどにやけどをする重傷を負ったが命には別条ないという。この現場に消防車が到着したのは21分後だった。