アメリカの96歳の男性が書いた亡き妻に捧げる歌が大変な話題になっている。歌詞だけだったのだが、これにメロディーがつき、その制作ドキュメンタリーの動画がフェイスブックで広がり、とうとうビルボードにランクインしてしまった。天国へ送ったラブレターだった。
詩に感動した歌手が曲付け…ヒットチャートでいきなり上位ランキング
始まりは5月だった。イリノイ州のスタジオが「シンガーソングライター・コンテスト」をやった。ネットで応募する決まりだったが、そこへ分厚い封筒が届く。「妻のためにこれを書いた」と「スウィート(愛しの)ロレイン」という詩があった。妻への思いと夫婦の写真も添えられていた。
送り主はフレッド・ストーボーさん(96)。今年が結婚73年目になるはずだったが、4月に妻が先立ってしまった。残された思いを綴った詩だ。
ああ、愛しのロレイン
願いがかなうなら
また2人で素晴らしい日々を
もう一度始めから
……
ああ、愛しいロレイン
ボクだけ先に進むことなんてできない
――とこんな調子だった。
曲が付いてないからコンテストは落選だったが、スタジオ経営者で歌手のジェイコブ・コルガンさんが注目した。「ボクだけ先に進むことなんてできない、という言葉に涙が出た。凄いインパクトだった」という。そして曲をつけようと思い立った。
コルガンさんが連絡をとって、その旨を告げると、ストーボーさんは「そんな金はないよ」「いや無料ですよ」というところから始まった。ストーボーさんは鼻歌を口ずさんで、それをコルガンさんが曲にしたりして7月に完成した。その過程を撮った動画を公開したところ、一気に広がり世界中から反応があった。9月にはビルボード・トップ100に初登場で42位にランクイン。ABCテレビも取りあげた。世界の音楽チャートにも載り、動画の再生回数は400万回になった。
ジューススタンドの16歳に一目惚れ「これまで出会った女性の中で一番可愛かった」
ストーボーさんはいまも「これまで出会った女性の中で一番可愛かった」「シャイで一目惚れした」と話す。出会いは1938年で、ロレインさんはジューススタンドのウエートレスだった。ドリンクを車まで運んできたのが始まり。2年間の交際を経て結婚。子どももさずかり、周囲もうらやむ仲だった。
「1人で居間に座って、頭に浮かぶことを紙に書き付けていった。ある日新聞でコンテストの広告をみて送ってみようと思ったんだ。これは現実じゃない。夢じゃないかとよく思う。でも現実だった」
司会の加藤浩次「歌詞はシンプルなんですよね。シンプルだから伝わる」
キャスターのテリー伊藤「出会いが21歳と16歳。高校生ですよ。それが車のところへ持って行った。アメリカンラッキーだよね。素敵ですよ」
加藤「96歳でまだ奥さんに会いたいという気持ちを持ち続けている」
菊地幸夫(弁護士)「真の夫婦愛は深いシワの中にある、という言葉がある。真実だなと思いました」
みんななんとなく幸せそうな顔だった。