「身が引き締まる思い。私自身復興のために汗をかきたいと望んできたことなので働く場を与えられたことに感謝している。一つひとつ全力を尽くしたい」
自民党の若きエース、小泉進次郎衆院議員(32)がきのう(2013年9月30日)、復興担当の政務官に就任し、緊張した面持ちで抱負を語った。自民党青年局のメンバーと毎月11日に被災地を訪れるなどの活動を続けており、こうした点が評価されたといえるが、父親の純一郎・元首相はこのところ脱原発発言のボリュームをあげており、進次郎起用は安倍首相への牽制なのだろうか。
安倍首相の思惑「人気者取り込んでおきたい」「元首相発言を牽制」
司会役の井上貴博アナウンサーが「父親の純一郎元首相と比べてみました」と経歴を解説する。進次郎は初当選後4年での政務官就任だが、父純一郎が大蔵政務次官に就任したのは初当選の7年後の37歳の時で、さらに9年を経て厚生大臣に就任した。
井上「比較すると、父親を超えたともいわれていますが」
コメンテーターの杉尾秀哉(TBS解説・専門記者室長)「父親の半分の8年ぐらいで大臣になるのかな。ポスト次第ではあるかも知れませんね。お父さんのころは派閥の中でステップを踏んでいく時代だったが、今は抜擢人事が増えているので、どこかの大臣に抜擢されるかも知れませんよ」
政務官は大臣、副大臣に次ぐ政務3役の1人で、大臣を補佐し特定の政策や企画にも参画する。今回の人事について政治評論家の有馬晴海は、「原発も復興も含めて、進次郎議員のネームバリューを最大限に利用できるいい人事といえる」と政権の思惑を解説する。
コメンテーターの三屋裕子(スポーツ・プロデュサー)「きのうも気仙沼に行ってきましたが、復興はまだまだ。進次郎氏のように現場に足を運んでいる人が政務官になったのはいいことだと思います」
潟永秀一郎(『サンデー毎日』編集長)「安倍政権としては、抜群に人気のある進次郎氏を中に取り込んでおきたいという思いがあるのかもしれないですね。予想外だったのはお父さんのああいう(脱原発)発言。そういう意味では試されるかも知れないですね」
熱く語る「原子力を人間が制御できるかどうか。いまこそ原発ゼロ」
退任後しばらく鳴りをひそめていた純一郎だが、最近、脱原発をめぐる発言が目立つ。先月24日(2013年9月)にはある雑誌のパーティーで「原子力を人間が制御できるかどうか疑問だ。いまこそ原発をゼロにすべきだ。政治が早く原発ゼロを打ち出して多くの国民が協力する。循環型社会にするいいチャンスを天が与えてくれた」などと語った。3日後のみんなの党の渡辺嘉美代表らとの会食の席でも同様のことを言っている。
進次郎自身も先月(2013年9月)、原発について、「どうやったら原発を減らし、なくしていける環境をつくれるか。(汚染水対策で)本当に土を凍らせるやり方が一番いい案なのか、世界の識者の聞いてほしいと思います」と述べている。
杉尾「これから長くかかる復興、原発のことを考えると、進次郎氏が担当政務官になったことは非常に意味のあることで、自民党として被災地に姿勢を示す意味もある」
若手の政務官にしては相当に高い期待値だ。一挙手一投足に多く目が注がれる。