宮崎市内で先週27日(2013年9月)、死後数年を経たと見られるミイラ化した遺体が見つかり、警察が家宅捜索中に、同居している妻と娘が農薬を飲み自殺を図る事件があった。病院に搬送された母娘は意識があるものの重症という。見えてきたのは、年金受給のために夫の遺体を隠していた疑い。高齢者家族を襲う貧困問題がありそうだ。
「敬老の日の祝い金」届けた市職員・民生委員に会わせず、奥から線香の香り
「モーニングバード!」によると、遺体発見のきっかけは9月11日、敬老の日の祝い金を届けるために、市職員と民生委員がこの家の主である88歳の男性を訪問したことだった。この時、娘が出て来て頑なに父親に会わせることを拒み、家の中から線香のにおい漂っていた。不審を感じた市職員らが警察に届け出て、警察官立会いで家の中を調べたところ、1階和室のベッドにビニールシートがかぶせられたミイラ化した遺体を発見した。その直後、警察の捜索中に78歳の男性の妻と45歳の次女が農薬を飲んで自殺を図ったという。
男性は法務局に勤め、定年後は自宅で司法書士として働き、生活に困っている様子はなかったという。しかし、3年ほど前から一家の様子が一変した。親戚の男性は「平成22年1月に(男性)本人が訪ねてきて、『1000円貸せ』というので、返さなくていいからと3000円渡した。それ以来会っていない」という。
遺体の男性は何らかの病気を患っていたのだろう。病院受診歴を見ると、借金をした3か月後の22年4月が最後となっており、それ以降は受診していない。
元同僚「月額25万~30万円の年金があったはず」
浮上したのは男性の死亡届出を出さずに年金を受給していた疑いである。法務局の元同僚は「ひょっとしたら年金の問題かなと感じますね。年金は月額で25万~30万円ぐらいはいくんじゃないですか」と話す。
警察は年金不正受給を視野に、死体遺棄の疑いで預金通帳など生活実態に関わる証拠品120点を押収し、遺体の司法解剖を行ない死因や死亡時期を詳しく調べることにしている。
司会の羽鳥慎一「年金の受給目的で遺体を隠していたのかどうかまだ分からない状況ですが、こういった例が多いし、これから増えていくのでしょうね」
青木理(元共同通信記者)「この男性は公務員だったのでかなり年金は高いですが、それでも亡くなると半額近い10万円チョイぐらい。生活ができないことを考えてこういうことになったと推測できますね。まだ真相は分からないが、これからの日本社会の教訓になるかもしれないと思います」
消費税増税、物価上昇…という現状を考えると、こうした「死亡隠しの受給」は増えそうである。