「最初は船外灯が2つ見えました。そのまますれ違うのだろうと思っていましたが、しばらくすると1つしか見えなくなりました。あっ、衝突したなと思い、すぐに海上保安庁に連絡しました」
9月27日午前1時半頃(2013年)、伊豆・大島の沖合で起きた貨物船同士の衝突を目撃したフェリーの船長はこう語った。
見張り当直の中国人船員逮捕!「ちゃんと見ていなかった」
事故は日本船籍の「第十八栄福丸」(498トン)とシエラレオネ船籍の「ジィアフイ」(2962トン)が衝突したもので、栄福丸の5人が死亡、1人が行方不明になった。下田海上保安部は事故当時、ジィアフイの宿直だった中国人乗組員の夏紅波容疑者(35歳)を業務上過失致死と業務上過失往来危険の疑いで逮捕した。
奥平邦彦リポーターは下田港に曳航される栄福丸とジィアフイを洋上から伝えた。「船としては、栄福丸に比べてジィアフイの方がかなり大きく、ジィアフイの左舷船首には窪みや擦った跡が見られ、錨もなくなっています」
海洋問題に詳しい山田吉彦・東海大学教授はジィアフイの痕跡写真と両船の模型を示しながら、「両船は正面から衝突したと思われます。通常、夜間航行の場合は見張りを置き、レーダーでウオッチするということが定められています。しかし、両船共に見張りを置いていなかった可能性が考えられます」と説明する。
奥平が海上衝突防止法の条文を紹介した。条文によれば、正面衝突の危険性が生じたときは、互いに右に舵を切るとされている。山田教授は「汽笛を1回鳴らして右に舵を切ります。ジィアフイの痕跡写真から左舷船首の下の部分に大きな擦った跡があります。おそらく、栄福丸はこの部分に乗り上げ転覆したと思われます」という。
文
ナオジン