東北楽天ゴールデンイーグルスが26日(2013年9月)、苦節9年で初優勝を決めた。星野仙一監督就任の年が東日本大震災で、選手たちは救援活動をして地域との絆を深めてきた。優勝の瞬間、Kスタ宮城球場のパブリックビューイングで、東北の隅々で歓喜の声が爆発した。
「できることは勝って喜ばせること。優しさ伝わったから今度は強さ伝えよう」
最後は153キロのストレートだった。田中将大投手がガッツポーズ。入団から7年目だ。星野監督も3年目だ。中日、阪神に続いて3つ目の球団で優勝監督になった。「オレは幸せな男だ。何かをもってるなと」と、まさに実感だったろう。
長い道程だった。2004年の球界再編で生まれた楽天だが、初年度は有力選手は少なく、0-26という大敗記録や38勝97敗という結果に終わった。2年目から野村克也監督になり、3年目には田中が入団し、5年目の09年に2位になったところで監督交代。しかし、翌年は最下位に転落した。
優勝会見で星野監督は球団を変えたのは大震災だったといった。「震災の真っただ中をここまでよくきた。われわれにできることは勝って喜ばせること。(選手は現地に入って)優しさは伝わったから、今度は強さを伝えようと」
田中投手は開幕22連勝という快記録で引っ張ってきた。さらにメジャーから獲ったジョーンズらの活躍などで、7月に単独首位になると、 中堅、ベテラン一丸となった星野野球でそのまま突っ走った。
楽天ネットショッピング「77%オフ」の優勝セール
優勝の感想を野村元監督に聞くと、「9年は長かったか短かったか」といったあとで、「私がやっていればもっと早かった」と苦笑する。「もう1年やりたかった」とも。2位になった年の監督交代に「なんでなんだ」とぼやいた。田中については「22連勝も凄いが、ゼロ敗が凄い」。かつて「マー君、神の子、不思議の子」とつぶやいて笑わせたのは、ノックアウトされても黒星がつかない不思議をいったものだった。田中も「何かをもってる」のだろう。
東京・品川の楽天本社では、社員500人が優勝を祝ったが、その後は全員がデスクについた。午前零時からの楽天市場のネットショッピングの優勝セール受け付けだった。星野監督の背番号77に合わせて、「77%オフ」という破格のセールで、むろん前代未聞だ。
キャスターのテリー伊藤「9年前はたたかれて、よくここまできた。田中投手の22連勝は、双葉山の連勝記録みたいなもの。チームにしても、エラーもでき ない、打たなくちゃいけない、大変なことですよ」
クライマックスシリーズはどうなるか。目下は2位ロッテ、3位ソフトバンク、4位西武だが、3、4位は1ゲーム差だ。まだまだ闘いは続く。