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徳田虎雄・毅親子「金まみれ選挙」病院職員使ってあっちに1000万円、こっちにも1000万円

   ここへきて安倍内閣にとって由々しき事態が起きている。徳田毅自民党代議士(42)の選挙違反を捜査するため、東京地検特捜部が動き、100カ所近い捜索を始めたからだ。

   徳田氏の父親・虎雄氏(75)は巨大医療グループ「徳洲会」を一代で築きあげた人物だが、この人のカネまみれ選挙は有名だった。息子も父親ほどではないようだが、自由に使えるカネと人を注ぎ込んで政界に足場を築こうとしてきた人物である。

   昨年12月の政治資金パーティには安倍首相も駆けつけ、「自民党のホープ」と持ち上げている。この事件をきっかけに、政界のどこまで捜査の手が及ぶのか。安倍政権を揺るがす事件に発展するかもしれないのだ。

   週刊新潮によれば、昨年12月の総選挙で毅氏の選挙区である鹿児島2区に駆り出された徳洲会の職員は、最低でも370人に上るという。徳洲会関係者によればこうである。<「傘下の病院から掻き集められた職員には、ビラ撒きや戸別訪問などが割り当てられました。しかも、公示後は欠勤扱いとして、引かれた給与分をボーナスに上乗せし、3000円の日当まで支給していたのです」>

   毅議員は絶体絶命のようだが、総帥の虎雄氏は徹底抗戦するといっているそうだ。10数年前にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、眼だけしか動かせないが、その眼でプラスチックの文字盤を追い、意志を伝えている。

   この人が繰り広げた鹿児島県徳之島での凄まじい選挙戦は今も語り草である。古参幹部がこう振り返る。<「当時は理事長(虎雄氏)が直接、地元に現ナマを運んでいました。ひとつの紙袋に1億円を詰め込んでね。空港の手荷物検査でX線にかけると、見たこともないような大量の札束が透けて見えるので、係員は驚きのあまり言葉が出ない」>

   地元入りした虎雄氏は選挙スタッフに、あの町に1000万円、こちらにも1000万円と、札束を手渡しながら指示を飛ばしたという。<「86年の選挙で徳田陣営は20億円落としたと聞いている。この選挙では徳田派24人が選挙違反で逮捕された」(鹿児島県警関係者)>

   選挙違反は徳田家のお家芸のようだ。全国に67の総合病院など約350もの関連施設を持つ徳洲会は、日本最大の医療法人グループである。そこから徳田ファミリーが吸い上げるカネもものすごい。

   「カブトク」という会社がある。<千代田区にある株式会社「徳洲会」のことだ。虎雄氏が全株を持ち、社長は長女の越澤徳美氏(49)。取締役にも次女のスターン美千代氏(46)をはじめ虎雄氏の子供が並ぶファミリー企業である。徳洲会の関係者がこう語る。

   「全国各地の徳洲会病院が薬や医療機器を調達する際、本部の指示でこの会社を間に挟むことが義務付けられる。その結果、カブトクには常に5~20%の仲介手数料が入ることになるのです。もちろん病院は直接業者から仕入れたほうが安く済むのですが、本部の意向に逆らえるハズもない。確かに医療法人には株式会社が必要なケースもありますが、このトンネル会社は、年間800億もの売り上げを誇り、ファミリーは多額の役員報酬を得てきました」(徳洲会関係者)>

   栄華を誇った徳田ファミリーも落日の時を迎えるのか。東京地検が意気込んでいるのは、捜索で虎雄氏のパソコンが手に入ったことだという。ある地検関係者によれば、「〇〇に○千万円運べ」といった具体的な指令が、パソコンには保存されているという。

<「特捜部の最終目標は、徳洲会から永田町の有力議員へ渡ったカネの流れを解明し、犯罪に問えるものがあれば、バッジ(議員)の身柄を取ること。今回の捜査は、地元の警察がやるような単なる選挙違反事件とはワケが違う。だからこそ、史上空前規模で捜査を行っている。そして、この前段階として、毅議員のほか、選挙の陣頭指揮を執った次女、選挙資金の供給源となった会社の代表取締役である長女の逮捕まで視野に入れています」(社会部キャップ)>

   今回の捜査は威信の低下した特捜部の起死回生をかけるものになるというのである。元特捜検事の郷原信郎氏もこういう。<「公職選法違反から入って、巨額の政治資金規制法違反や脱税などの罪状で、政界にどれだけ切れ込めるか、捜査を見守りたい」>

   成り行き次第では安倍政権の致命傷になるかもしれない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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