安倍首相が進める「首切り特区」遅刻1回で解雇、残業・休日割増ゼロ
最近、安倍首相というのは『変人』といわれた小泉純一郎元総理よりも怖い人かもしれないと思うようになった。『敵』を知らなければと、安倍首相が書いたりしゃべった本を何冊か読んでいるのだが、読めば読むほどある信念に凝り固まった人だという思いが強くなる。
突き詰めれば、この人の頭の中には「憲法改正」しかないのだが、そうすれば世の中がよくなると信じ込んでいるのが怖い。憲法を変えて、戦争のできる普通の国にするするためには手段を選ばない、死をも賭すという『覚悟』はハッタリではないようである。
その安倍首相がとんでもない特区を仕掛けようとしていると、9月21日の『朝日新聞』が報じている。<政府は企業が従業員を解雇しやすい特区を作る検討に入った。労働時間を規制せず、残業代をゼロにすることも認める。秋の臨時国会に出す国家戦略特区関連法案に盛り込む。働かせ方の自由度を広げ、ベンチャーの起業や海外企業の進出を促す。だが、働き手を守る仕組みは大きく後退する」>
この制度は「ホワイトカラー・エグゼンプション」と呼ばれて、第1次安倍政権でも検討されたが、「残業代ゼロ法案」と批判を浴びて断念したものだ。<今の解雇ルールでは、やむをえない事情がなければ、経営者は従業員を解雇できない。特区ではこれを改め、働き手と企業との契約を優先させる。例えば、「遅刻をすれば解雇」といった条件で契約し、実際に遅刻をすると解雇できる。立場の弱い働き手が、不利な条件を受け入れ、解雇されやすくなりかねない。
また、今の労働時間の規制は原則1日8時間で、それを超える場合に労使の協定が必要。特区では、一定の年収がある場合にすべての規制をなくし、深夜や休日にどれだけ働いても割増賃金を払わないことを認める。働き手が希望した場合に限るとの条件をつける>(朝日新聞)
安倍首相は10月中旬には特区地域を指定するというのだ。労働者を軽んじ、大企業に限りなく甘いこの政権をこのまま放置しておくと、小泉政権の時以上に働く者たちにとってつらい日本になることは間違いない。なにしろ、小泉政権の時に新自由主義の旗を振った竹中平蔵氏が、安倍首相のブレーンに返り咲いているのだから。