雄大な風景が魅力の北海道の鉄道の旅が、安全基準を逸脱したレールの上を走っていたと聞いて多くの人が驚き、あきれ返った。JR北海道はおととい22日(2013年9月)、レール幅など97か所の異常を放置していたことを明らかにしたが、その理由が「手が回らず、後回しにしていて失念した」というお粗末極まりないもので、ずさんな安全管理が厳しい批判を浴びている。
脱線の危険「レール幅、高さのゆがみ」手が回らないから後回し
鉄道のレール幅は、列車の走行によって高さや幅にゆがみが生じるため基準が定められている。JR北海道は直線で幅の広がりが14ミリ、カーブで19ミリを基準としていて、これを超えると15日以内に補修する決まりになっている。この基準を超えた異常があるのに、約1年にわたり放置されていたケースもあった。今回明らかになった最大の広がり幅は28ミリだったが、専門家によると40ミリ以上になると脱線の危険が高まるという。
JR北海道に異常を訴えた男性会社員は先月(2013年8月)、函館から札幌に向かう特急に乗っていて、長万部付近でかなりおおきな揺れを感じた。「この揺れって大丈夫かなという感じで、正常でないような気がした」という。このところ脱線や出火などのトラブルが続いていたので、レールや車両に不具合がないかとJR北海道にメールで問い合わせたところ、9月12日付けで広報部から返信が来た。内容は「ご指摘の箇所につきましては、9月3~7日に徒歩での巡回の中でレール点検を行っており、点検結果につきましては異常はありませんでした」というものだった。だが、JR北海道が発表した異常個所のなかに、男性が指摘した付近が含まれていた。男性は「裏切られたというか、ウソをつかれたというか」と話す。