リウマチ治療薬に思わぬ効果…本丸・がん幹細胞を兵糧攻め
思わぬ薬の効果に期待しているのは国立がん研究センター東病院だ。現在の治療では効果が期待できない胃がん患者への臨床研究で、リウマチの治療薬を投与している。慶応義塾大学の佐谷秀行教授は、がん幹細胞の表面にある栄養を取り込む特殊なポンプにふたをすることをねらう。海外の論文からリウマチの薬にその効果があることがわかり、マウスに投与したところ、4週間後にほとんど消えていた。「想像以上の抑制効果があった」と佐谷教授はいう。
臨床研究はすでに5か月になる。がん幹細胞の減少は認められるが、なお研究は続行中だ。中釜所長は「5年生存率はいま6割ですが、早期発見なら8割、9割です。がん幹細胞の研究で早期発見や治療が難しいすい臓がん、肺がんでも、8割にするのは夢ではないでしょう」という。
友人の70代の医師が言っていたのを思い出す。「65歳以上のことなんか教科書に出ていなかった。死んで当たり前だったのだ」と。その年代が立派に生きていれば、当然がんも増える。いま、日本人の2人に1人だという。がん治療の進歩に年寄りも寄与しているといえなくもない。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2013年9月19日放送「がん『根治』の時代は来るか~『がん幹細胞』研究最前線~」)