台風18号で福島第1原発の汚染水貯蔵タンク周辺にたまった雨水の排出について、東京電力はきのう17日(2013年9月)の会見で、海への放出は1130トンだったことを明らかにした。放出した雨水の放射線量は排出基準(1リットルあたり30ベクレル)を下回っているという。
しかし、汚染水漏れを起こしているタンクの周辺では基準を上回ったため汲み上げてタンクに入れた。そのため「台風で(タンク容量を)かなり食いつぶした」という。
原子炉冷却水、地下汚染水に加えて台風の豪雨
汚染水タンクは現在1000基あり、試算では2016年末までに原子炉の冷却水と地下水で160万トンの汚染水が出る。タンクの容量は1基1000トンだから1600基が必要になる計算だ。これに雨水が加わることになったわけだ。
台風18号関係の福島の雨量は、15日に32.5ミリ、16日が46.0ミリだった。この2日間だけで9月の平均雨量160.3ミリのほぼ半分になる。台風以外の大雨の可能性もある。昨年までは汚染水漏れがなかったため問題にならなかったが様相が変わった。
安倍首相は「福島はコントロールされている」と言うが、現状は前述の通りだ。専門家は「タンク の増設が急務になってくるが、タンクへの回収は一時しのぎに過ぎない。汚染の元を止める対策がおろそかになっている。次の台風をどうするのか」という。
東電は「汚染された雨水がたまる事態」を「想定外」と言うが、台風は想定内だろう。専門家は「政府が責任を持つということは、金を出すだけでなく、作業ができる環境を作るために叡智を集める必要がある」という。むろん世界の叡智だ。