2020年オリンピックの開催地を決めるIOC総会で北朝鮮が東京に投票したというニュースは驚きだったが、いったいどんな狙いがあるのか。気になるニュース単語を読み解く「ミノがしません!けさ単!」コーナーで「北の思惑」を取り上げ、強行路線の裏で見え隠れする北の変化を探った。
五輪ブーム便乗か、日朝関係改善か
東京は1回目の投票で42票、決選投票で60票を獲得して圧勝したが、この得票をめぐって北朝鮮の関係筋が、「北朝鮮のIOC委員は東京に投票し、アフリカ票も取りまとめた」と発言したというのだ。司会役のアナウンサー井上貴博は「よくわからないのですが、投票の後で、誰が、あるいはどの国がどこへ投票したとか、話したりするものですか」と聞く。
コメンテーターの杉尾秀哉(TBS解説・専門記者室長)「あまり言わないですよ。聞いたことがありません」
三屋裕子(スポーツプロデューサー)「ただね、アフリカ票をどうやって取るかは結構大きな問題だったんですよね」
「これが本当であれば、東京五輪に便乗したいのか、日本との関係を改善したいのか。狙いは何なのか考えてしまいます」とアナウンサーの小林悠はいう。関西大学の李英和教授に聞くと「韓国との雪解け対話がうまくいかなかった時の保険として、日本に恩を売るためではないか」と解説した。
スポーツに力入れる金正恩―ヒトラーまねて若者狙った国威発揚
このところ、北朝鮮のスポーツをめぐる動きが話題を呼んでいる。先日、ピョンヤンで開かれた重量挙げの国際大会には韓国も参加し、開会式で北朝鮮で初めて韓国の国旗が登場し、優勝した韓国選手を讃える韓国の国歌も流れた。
去年(2012年)の11月にはスポーツ強国をめざし国家体育指導委員会を新設した。今月9日(2013年9月)には元NBAスター選手のデニス・ロッドマン氏に、2016年のリオデジャネイロ五輪へ向けてバスケットボールチームの指導を依頼した。李教授は「スポーツに力を入れるのは若者をターゲットにした国威発揚です。ヒトラーの手法をまねしているらしい」といっている。
大規模なスキー場の建設も進められており、「10年かかるところを年内に終える」と猛烈な突貫工事で来月完成の予定だ。これは2018年の韓国のピョンチャン冬季五輪と関係しており、北朝鮮政府関係者は「韓国や国際機関から要請があればスキー場を会場として提供する用意がある」と共同開催を示唆する発言をしている。
潟永秀一郎(『サンデー毎日』編集長)「ピョンチャンの雪不足が深刻なようで、韓国は水面下で日本に協力を求めているという話も伝わっています。そうした実情に乗っかろうとしているんでしょうけど」
井上「あり得るんでしょうか」
杉尾「ない、ない、絶対ない。だって、インフラがまったく整っていなんだもの。空港だって相当ひどい」
そこで、と小林が2億ドルを投入するという空港デラックス化計画について説明を始めたが、「ないよ、そんなの」と言下に否定した。そんなにムキにならなくても…。